7つの夢の物語
第4夜 ピラミッドでの決戦
ピラミッドを必死に登っていた。このピラミッドは悪の超能力者の秘密基地。人類の平和のためには、ここを破壊しなければならない。しもべである怪鳥も、口から炎を吐いて敵の防衛線を破壊し、自分を援護してくれている。味方の軍隊もピラミッドを取り囲み、あとは敵のボスと対決するだけだ。
ふと、軍隊の武器の一部が、自分に照準を当てていることに気づいてしまった。そうだ。自分も敵と同じ超能力を持っている。もちろん自分は人類の味方であり、その力を悪用しようとは思わない。しかし、普通の人類にとってはどうか。異能を持つものは脅威の対象でしかなく、排除できるものならしておきたいのが、情だろう。
つまり彼らは、悪の超能力者もろとも、自分を抹殺する気なのだ。敵との戦いで不幸にも犠牲となった、という形にすれば、世間から叩かれることもない。
何ということか。守らねばと思ってる人類によって、自分は殺されようとしている。死んでたまるか。
自分はピラミッドの中に潜り込んだ。こうなったら敵との対決などどうでもいい。今の状況を打開しなければ。そのために、ピラミッドの中央で、自分の能力のリミッターを外そうと考えた。
ピラミッドの中央にたどりついた自分は、自分の能力を開放した。辺りが白い光に包まれる。一体何が起きるのか、自分でも分からない……。
やがて、真っ白な世界から声が聞こえてきた。
「……ちゃん、お兄ちゃん、お兄ちゃん……」
弟の声だ。しかもこの声は、まだ弟が3歳くらいの時のものだ。
そうか、能力を開放することで、自分は子どもの頃にタイムリープしたのだ。そう認識して目を開けようとした時、夢から覚めた。