7つの夢の物語
第1夜 ドライブ中の夢
友人の運転する車である場所に向かっていた。
助手席に座っているからには、運転手が眠くなったりしないよう、適度に話しかけねばならないことは心得ていた。友人は運転しながらいろいろ話しかけてくれていたので、それに受け答えするのが自分の役割だ。
しかし、頭がぼーっとして友人の話が入ってこない。ひどく眠いのだ。
その一瞬後、自分は目的地に着いていた。いやあ、思ったり早く着いたね、と友人に言おうとして、ふと気づいた。こんなに早く着くはずがない。ついさっきまで、助手席に座っていたのだ。
なるほど、これはきっと夢なのだと思い至った。友人の運転中、自分は助手席で不覚にも眠りに落ち、あろうことか、勝手に目的地に着いた夢を見ているのだ。
「起きなきゃ」と強く思った。大体こういう時は、夢の中で体を動かせば目が覚める。
「えい」と体を動かすと、予想通り夢から覚めた。……が、何かおかしい。
自分は布団の中にいた。しかもこれはどう考えても現実だ。
どうやら自分は布団の中で、友人とドライブに行く夢を見ていたのだ。そしてそのドライブ中に眠ってしまって、夢を見ていた。
本当なら、一度、友人の車の助手席で目を覚まし、それからこの布団で目覚めねばならなかったのだ。それを一足飛びに布団の中に戻ってしまった。
第一段階の、ドライブ中の夢の中では、助手席で眠りこけている自分に呆れながらも、友人はまだ運転を続けていることだろう。