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居なくなった人たち

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笑について その1


笑顔が少ないと他人からも自分でも思うわたしでも笑うときがある。
家族が帰省した瞬間だ。
それとうれしい友達と会うとき。

それほどでもない付き合い上の笑いは「笑み」と丁寧な挨拶で事足りる。

それにしてもこの年になって決して笑えない人という相手が年々なくなっているというのは喜ばしいことだ。それだけ周りに自分を傷つける人間がいないということだから。


友の会に入会していた15年ぐらい前のこと、ちくちくいじめながらにこにこしていた先輩がいた。本音と建て前が全く異なるので信用できないと他の人も噂していた女性だ。

今回再入会したとき、すぐに傍に寄ってきて優しい笑みを浮かべて歓迎の言葉をかけてきた。
以前数々の屈辱的なことをされた記憶があるので、私は本音でない丁寧な笑みで言葉少なに礼を返した。
彼女はかなり認知症が進んでいて、事務的な簡単なことさえできないらしいが定例会には出席して目を閉じて座っていた。


本音で物を言う人、しかも相手を傷つけないように会話できる人は年をとってもどんな境遇にあっても決して呆けないと思う。
他人がショックを受けるほど傷つけて心中で笑っていられる人はどこか脳に異常があるのではないかと思うのである。


作品名:居なくなった人たち 作家名:笹峰霧子