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居なくなった人たち

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その2



自分が良い友だと一方的に思ってかなり頻繁に電話する友がいる。

先方は寡黙な人で自分から話題を提供することはないが、私の声が聞けたといつもうれしそうにいう。
彼女は私のことを他の人に絶対悪く言わないと信じている。

だが私が長話をしてしまうので、お客さんが来た!とか電話がかかったとかで話の途中でさっと切れて、後から折り返しの電話がかかることもない。

もう何十年の付き合いだが不信感を持ったことはないので、思うことをぺらぺらしゃべっている。
高校生のときは勉強ができて可愛らしかったなど思いもよらないことを言ってくれたり、今度機会を作ってご飯してくださいとオファーされることもある。

だが、先方から電話をくれたことは一度もないので、自分が何かで姿を消しても安否を尋ねることはしないだろう。

皆に良い人と呼ばれるひとはこんな人のようである。


作品名:居なくなった人たち 作家名:笹峰霧子