石のきおく
おやつを食べていたら電話が鳴った。友だちのタケルからだ。ついさっき、家の前で別れたばかりなのに、どうしたんだろう。
「グルル。まこと。急いできてくれる? グルルル。ぼくを助けて……ガルル」
ぼくはあわてて受話器を置くと、家を飛びだした。タケルの家まではものの五分とかからない。チャイムを鳴らしたら、
「あいてるよ」
と、タケルの声がした。
ところが、玄関に入ったとたん、ぼくは目玉が飛び出すかと思うほどビックリした。だって、目の前にティラノザウルスがいるんだもん!
あわてて逃げようとしたら、
「ぼくだよ。タケルだよ」
って、ティラノザウルスが言うじゃないか。
「ええ? ほんとに?」
ぼくはしげしげとティラノザウルスを見た。
「もうすぐママが買物から帰ってくるから、詳しい話はぼくの部屋で」
そうして二階にあるタケルの部屋にいった。
「いったい、どうしたんだよ」
「さっきひろった化石のせいなんだ」
今日は理科の野外実習をかねた遠足で、山へ地層を調べに行ってきた。そのときタケルはこぶし大の白い石をひろったんだ。割れ目から、黄色っぽいつやつやした質のちがう石が見えるので、タケルは中に「こはく」が入っていると言ってもち帰ってきた。
机の上には砕いた石のかけらと、中からとりだした黄色い石が置いてあった。
「これ?」
ぼくがさわろうとしたら、タケルが叫んだ。
「だめだよ。素手でさわると恐竜になっちゃうんだ」
あわててぼくは手を引っ込めた。
「最初はミイが……」
ミイっていうのは、タケルの飼ってる猫だ。ベッドの上には、小さなトラコドンが丸まって寝ている。
「え? ミイがあんなになっちゃったの?」
「うん、石にじゃれて、爪が触れたらね」
それから、と、今度はかぎ爪で窓の方を指さした。そこには鳥かごがかけてあってインコのピピがいる……はずなのに、始祖鳥だ!
「石に止まらせてみたら、こうなった」
おまけに、自分はどうなるだろうと、軍手をはずして素手でさわってみたんだって。その結果がティラノザウルスか。
タケルサイズのティラノザウルス、インコサイズの始祖鳥、猫サイズのトラコドン……。 これじゃまるでミニチュアの博物館だ。もっともこれが実物大だったら、ゾッとするけどね。
元にもどる方法を考えなくちゃ、と思ったら、タケルはあっけらかんとしていった。
「グルル。まこと。急いできてくれる? グルルル。ぼくを助けて……ガルル」
ぼくはあわてて受話器を置くと、家を飛びだした。タケルの家まではものの五分とかからない。チャイムを鳴らしたら、
「あいてるよ」
と、タケルの声がした。
ところが、玄関に入ったとたん、ぼくは目玉が飛び出すかと思うほどビックリした。だって、目の前にティラノザウルスがいるんだもん!
あわてて逃げようとしたら、
「ぼくだよ。タケルだよ」
って、ティラノザウルスが言うじゃないか。
「ええ? ほんとに?」
ぼくはしげしげとティラノザウルスを見た。
「もうすぐママが買物から帰ってくるから、詳しい話はぼくの部屋で」
そうして二階にあるタケルの部屋にいった。
「いったい、どうしたんだよ」
「さっきひろった化石のせいなんだ」
今日は理科の野外実習をかねた遠足で、山へ地層を調べに行ってきた。そのときタケルはこぶし大の白い石をひろったんだ。割れ目から、黄色っぽいつやつやした質のちがう石が見えるので、タケルは中に「こはく」が入っていると言ってもち帰ってきた。
机の上には砕いた石のかけらと、中からとりだした黄色い石が置いてあった。
「これ?」
ぼくがさわろうとしたら、タケルが叫んだ。
「だめだよ。素手でさわると恐竜になっちゃうんだ」
あわててぼくは手を引っ込めた。
「最初はミイが……」
ミイっていうのは、タケルの飼ってる猫だ。ベッドの上には、小さなトラコドンが丸まって寝ている。
「え? ミイがあんなになっちゃったの?」
「うん、石にじゃれて、爪が触れたらね」
それから、と、今度はかぎ爪で窓の方を指さした。そこには鳥かごがかけてあってインコのピピがいる……はずなのに、始祖鳥だ!
「石に止まらせてみたら、こうなった」
おまけに、自分はどうなるだろうと、軍手をはずして素手でさわってみたんだって。その結果がティラノザウルスか。
タケルサイズのティラノザウルス、インコサイズの始祖鳥、猫サイズのトラコドン……。 これじゃまるでミニチュアの博物館だ。もっともこれが実物大だったら、ゾッとするけどね。
元にもどる方法を考えなくちゃ、と思ったら、タケルはあっけらかんとしていった。