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せき あゆみ
せき あゆみ
novelistID. 105
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石のきおく

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 おやつを食べていたら電話が鳴った。友だちのタケルからだ。ついさっき、家の前で別れたばかりなのに、どうしたんだろう。
「グルル。まこと。急いできてくれる? グルルル。ぼくを助けて……ガルル」
 ぼくはあわてて受話器を置くと、家を飛びだした。タケルの家まではものの五分とかからない。チャイムを鳴らしたら、
「あいてるよ」
と、タケルの声がした。
 ところが、玄関に入ったとたん、ぼくは目玉が飛び出すかと思うほどビックリした。だって、目の前にティラノザウルスがいるんだもん!
 あわてて逃げようとしたら、
「ぼくだよ。タケルだよ」
って、ティラノザウルスが言うじゃないか。
「ええ? ほんとに?」
 ぼくはしげしげとティラノザウルスを見た。
「もうすぐママが買物から帰ってくるから、詳しい話はぼくの部屋で」
 そうして二階にあるタケルの部屋にいった。
「いったい、どうしたんだよ」
「さっきひろった化石のせいなんだ」
 今日は理科の野外実習をかねた遠足で、山へ地層を調べに行ってきた。そのときタケルはこぶし大の白い石をひろったんだ。割れ目から、黄色っぽいつやつやした質のちがう石が見えるので、タケルは中に「こはく」が入っていると言ってもち帰ってきた。
 机の上には砕いた石のかけらと、中からとりだした黄色い石が置いてあった。
「これ?」
 ぼくがさわろうとしたら、タケルが叫んだ。
「だめだよ。素手でさわると恐竜になっちゃうんだ」
 あわててぼくは手を引っ込めた。
「最初はミイが……」
 ミイっていうのは、タケルの飼ってる猫だ。ベッドの上には、小さなトラコドンが丸まって寝ている。
「え? ミイがあんなになっちゃったの?」
「うん、石にじゃれて、爪が触れたらね」
 それから、と、今度はかぎ爪で窓の方を指さした。そこには鳥かごがかけてあってインコのピピがいる……はずなのに、始祖鳥だ!
「石に止まらせてみたら、こうなった」
 おまけに、自分はどうなるだろうと、軍手をはずして素手でさわってみたんだって。その結果がティラノザウルスか。
 タケルサイズのティラノザウルス、インコサイズの始祖鳥、猫サイズのトラコドン……。 これじゃまるでミニチュアの博物館だ。もっともこれが実物大だったら、ゾッとするけどね。
 元にもどる方法を考えなくちゃ、と思ったら、タケルはあっけらかんとしていった。
作品名:石のきおく 作家名:せき あゆみ