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変貌

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その7


夫は脳梗塞になるまでは風邪一つ引かず、一方私は何かあるとすぐ病院にかかるほど身体が弱かった。
私が元気なときは夫は機嫌が良かったが、どこか悪くなると夫は人が変わったように冷たくなった。自分が元気なので少々のことでぐずぐずもたれてくると腹が立ったのだろう。
そういう仕打ちを何度も体験するにつれて、私は身体が悪いときでも訴えることをしなくなり次第に強くなっていた。

自分は病気になっても看病してもらえないという自覚ができてから、独りで頑張ることを覚えた。
私は娘や孫のことになると必死にもなり、特に孫が病気になるとぴたっと食欲がなくなったが、その他のことでは冷たい人間になっていた。

世間の人は病気しても家族には頼らないのだろうか。
きょうだいも居ない私には人に頼るということを知らない人間になっていたのだ。


作品名:変貌 作家名:笹峰霧子