変貌
その2
そもそも私は生育環境に恵まれなかった。
親は産まれたときから母親だけで、祖母が中学一年に亡くなるまで傍に居た。
祖母と二人だけで過ごした小学生高学年の時期もあった。
祖母が何かをしてくれた記憶はなく、キセルをぷかぷか火鉢の傍で吸っていたことが目に浮かぶ。私にとって祖母は一番懐かしい人でその記憶は定かではないのだがしっかりと脳裏にこびりついている。
元を辿れば母の生き方が間違っていたのだ。
母の選んだ生き方が他の子とは違った環境の中で私をこの世に送り出し、育てられ、96歳で死ぬまで一緒に暮らした。
もっと平凡な幸せだけで良いからと思うこともある。