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オオサカタロウ
オオサカタロウ
novelistID. 20912
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Striker

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 四年前に行方不明になった男の子の記事は、ニュースで毎年流れている。その居場所は、わたししか知らない。あの子は、もう誰も探せない欠片になって、海に還った。去年の暮れに連れてきた女の子は、先月までこの家にいた。放置児で、捜索願すら出ていない。同じようにどこかから『消えた』わたしのことを、誰も探さなかったのと全く同じだ。
 本当は部屋から出たくないが、意を決して外出し、土産のように子供を連れてくると、あの二人はとても愛おしそうな表情で正気に戻って世話を焼くが、時間が経つにつれて何かが違うと思い直し、関わるのをやめてしまう。まるで、確実に相容れない何かを見つけたかのように。
 そしてしばらく経つと、またわたしに向かって微笑んでくれる。
 特にこういう、公園デビュー向きのからっと晴れた日には。
 二人に諦められなくて、本当に良かったと思う。この家の『正解』で居られたことは、わたしの誇りだった。外の世界が怖くなって引きこもりになっても、二人は見捨てることなく世話を焼いてくれた。その理由が何なのか、もう分かる日は来ない。だからこそ、自分が正解であるということを、証明し続けたい。でも、さっきの配達員が突然チャイムを鳴らしたように。もうそろそろ、誰かが来るはずだ。
 わたしのやったことに気づいた、誰かが。
 突然、玄関口にやってきて、全てを終わらせてくれたとしても、もういいはずだ。
作品名:Striker 作家名:オオサカタロウ