そこに山があるからって(続・おしゃべりさんのひとり言190)
そこに山があるからって
山登りが趣味って人いますか?
しんどいよね。
僕はイメージでそう思っていました。
でも(ハイキングくらいなら余裕だろう)って、そう思いません?
僕は単純にそう思っていました。
だから、初心者向きの登山コースを見付けて、その景色を楽しみにして家族で行ってみたら、ハイキングと登山は全く別物だと知りました。(ひとり言 その113『登山をハイキングとなめてると』参照)
登山って、初心者コースでも、ちゃんと登山なんですよね。
登るんです。山を。
これ当たり前ですけど、結構誤解しちゃいますよね。
だって(初心者でも行ける)って思っちゃいますから。
そりゃ行けますよ。登山靴や登山用リュック、手袋ぐらいがあれば、這いつくばって登ったり、ロープにしがみついて降りたりしながら。
根本的にハイキングと違うのが、標高の高いところに進んで行くってこと。
それが一番しんどい。
朝からずっと上り坂を歩いて行くんですよ。
(階段を千段上る)ってイメージしてみてよ。嫌でしょ。
でも山道だったら、階段換算で1万段とかですよ。いやそれ以上の時も当然ありますし。
せっかく登ってきたのに、暫く下り坂なんてことも多くて、(また登り直すんや!)って、やりきれない気分になったりします。
それにやっと辿り着いても、頂上はゴールじゃなく、ただの折り返し地点です。
そうまでして山に登る意味って何でしょう?
名言「そこに山があるから」←分らん解らん。
世の中には登山を趣味にしている人が、少なからずいますよね。
僕の周りにはほとんどいませんでした。
でも僕にはきっかけがあったから、(山に登ってみよう)って思ってしまったんです。
よく行くアウトレットモールがあって、その中にアウトドアグッズの専門店がいくつか入っています。
たまたま僕は、ウルトラライトなウインドブレーカーを買いにその店の一つに入ったら、店員の男性が接客しに近付いて来られたんです。
僕は買うつもりですから、いろいろ質問してると、
「お客さん、どこかでお会いしたことないですか?」
「え? そうですか? 分からないなぁ」
「イスラエルにいませんでした?」
「い? イスラエル?・・・いました」
「やっぱり、私もあそこの工場で仕事してたんですよ」
と、とんでもなくレアな場所で出会っていた人だったんです。
僕はあまり覚えてなかったですけど、向こうで中心的な仕事をしていた僕のことを憶えてくださっていたようです。
その方は、もう元の会社を退職されて、趣味だという登山の専門ブランドの会社に再就職されていて、そこの店に居られたんだそうです。
それ以降、その店に顔を出す度、言葉を交わしているうちに、ちょっと山登りに興味が湧いてきました。40代最後の頃です。
妻とも「富士山に登ってみたい」って話をしていたんです。
登山素人ですから、どこの山を思い付くかって言ったら、富士山くらいしかなかったという訳ですけど。
「夫婦で50歳になった記念に富士登山をする」って計画が持ち上がりました。
当然アウトレットのお店で、アドバイスをもらいながら、素人ながらに装備を揃えました。
富士山一回だけの為に、上等な装備は不要ですから、手ごろな装備を買いました。
そして、店員さんのアドバイスに従って、練習登山をすることにしたんです。
はじめは標高1000メートルくらいの山で、歩く練習です。
普段通りの歩き方だとすぐに息が上がってしまって、続かないんです。
一歩一歩、じわじわ登るイメージがちょうどいいと知りました。
ストック(杖)の使い方も練習しました。
はじめは手に持っているのが煩わしかったです。
でも、そのうちに一本でも持ってれば、バランスを崩した時に無理せず、チョンと支えになって便利だと思いました。
やがて、普通に歩く時にも、足の筋力のサポートに使えるって解りました。
それは体力温存の必須アイテムでした。
そして二回の登山で、ある程度体力ギリギリまで出し切ってみて、まだまだ50歳でも大丈夫だって自信を持つことができたんです。
いざ富士山本番は、標高3000メートルを超えてから、空気が薄くてしんどかったですが、体力的には余裕で楽しむことが出来ました。
下山時は、周囲の登山者の倍くらいのスピードで降りられるくらいに余裕があったのは、あの店員さんのアドバイス通りに、事前練習をしっかり積んでおいたおかげだと思います。
それからというもの、僕は山登りに目覚めました。
折角買い揃えた装備がもったいないというのもあるけど、また山に行こうという気になれたんです。
でも、近場の山に登ってみてもそれほど面白くありません。
どこも普通の森林で、同じような景色の連続でしたから。それは富士山とじゃ全然違う。
You Tubeで登山動画を見ると、皆さん森林限界を超えた樹木の無い岩山を登っておられるんです。
これは本格的じゃないですか?
(ちょっとハードル高いな)と思いました。