初パーマ(続・おしゃべりさんのひとり言188)
初パーマ
「丸坊主にしたら、次生えてきた毛髪が、天然パーマになっちゃった」
そんな話聞いたことないですか? 実しやかに囁かれていますよね。本当かな?
ネット検索すると、そういう疑問を持った方が結構多くて、また経験者も見つかりました。
むしろ髪質を変えたいがために、坊主頭に挑戦した女性の話までありましたよ。
検索結果では、事実「天然パーマになっちゃって困ってる」って人は結構多いように感じます。
でも、髪の専門家の意見だと「そんなことはあり得ない。もともとのくせ毛が短く伸びてる間に目立ってるだけ」だそうです。
ううむ。これを検証してみたい。けど、丸坊主にするのは嫌だからやめておきます。
ちょっと前に、僕の知り合いの女性が白血病になって、闘病中の放射線治療の影響で丸坊主になっちゃいました。
その時の写真を送ってきてくれたら、本当につるっぱ。
その後は無事寛解にこぎつけて退院し、ウィッグをかぶって日常生活を送られていました。
ところが、生えだした髪の毛が、くりんくりんの状態だったんですって。
彼女の髪質は、超細くまっすぐでな綺麗な髪だったから、天然パーマなんて想像もつかない。
それが恥ずかしくて、写真を送ってくれないくらいです。(つるんは平気だったのか?)
まだ伸び切ってない間は、ミュージカル『アニー』のような状態だったそう。
これは気のせいじゃなさそうです。
髪の専門家が言うのとは違う状況でしたが、薬の副作用とか、長い入院生活での健康状態がまだ改善出来ていなくて、髪も不健康になってたのかな?
僕は逆に天然パーマに憧れていた時代がありました。
中学の頃ですが、パーマっておしゃれの象徴みたいなもんでしたよ。
当時はツッパリ不良の全盛期で、校則違反でパーマをかけたり、金髪にしたり、剃り込みを入れるのが流行っていましたね。
僕は少し剃り込み派でした。でもリーゼントに憧れて、(やってみたい!)と思ってたんですが、そこまで世の中に反抗する気もありませんし、そんなんしたら毎日ケンカ三昧になる。そんな時代背景だったんで。
僕のクラスには一人、天然パーマの生徒がいたんです。
全体を大きく巻き巻きしたような天然。
その彼がクラブの先輩に言われて、頭髪を刈り上げにして来たことがあって、注目の的に。
頭頂部はクリクリパーマ、裾の方はジョリジョリに刈り上げですもん。
するとなぜか、その髪型がリーゼントっぽい雰囲気になってて、カッコ良かったんです。
こんなんを(羨ましい)と思っていました。
初めてパーマあてたのは18歳の頃。
その頃は男が美容院に行くのは恥ずかしい時代でしたから、どこであててもらったらいいのか分かりませんでした。
友達が「家の近所にパーマやってる散髪屋があるよ」と教えてくれました。
そこは所謂、紳士が集う『サロン』て感じの床屋さんです。
お店のオーナーさんは、ぱちぱちパンチパーマで、もう一人の小柄な従業員の男性も、てっぺんがちょっと薄いチリチリパーマでした。(←佐藤蛾次郎に似てた)
お店に入ると、オーナーさんに低い声で、「いらっしゃませ」と言われました。目は睨みつけるような感じです。もう一人の小柄な理容師さんは笑顔で頷かれました。
僕は初めてのお店に緊張しています。(場違いだったかな?)
それ以上何も言われないので、待合のソファに座って雑誌でも読んでるふりをしましたが、本心は(帰ろうかな?)とか考えていました。
初めてのパーマなので、理容師に相談しながら慎重にかけてもらうつもりでしたが、この店の雰囲気に(相談できるかな?)と不安になりました。それは長い時間でした。
ついに僕の番が来ると、怖そうなオーナーさんではなく、蛾次郎似の理容師さんが担当されましたので、僕の要望を伝えやすくて安心しました。
「初めてなんですけど、全体を軽くパーマしてください」
「どれくらいのロットで巻きますか?」って言われたんですけど、何のことか分かりません。
作品名:初パーマ(続・おしゃべりさんのひとり言188) 作家名:亨利(ヘンリー)