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僕はずっと

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 あっという間に、下校時刻。佐藤さんも帰ってしまう。
 急いで声をかけようか? 変なことを聞くかもしれないけれど、しゃっくりが出そうもない? って……。
 いや、あり得ない! メッタ蹴りにされるやつだ。
 神様の言葉は何だったのか? ここが「神頼みは最後じゃ!」の最後だから、祈ればいいですか? 神様……!
 というか、どうなんだ? そもそも、あの夢自体が……?
 僕は、佐藤さんに声をかけた。
「佐藤さん、変なことを聞くかもしれないけど」
 僕と佐藤さんの目が合った。
「……僕たちのジャグリング部に入らない? 読書もいいけど、できないことができるようになるのって、すごく楽しいよ」
 はたして、佐藤さんは、笑顔を返した。
「実は、私も楽しそうだと思ってた」
「そうなんだ!」
「声をかけてくれてありがとう……でも」
 と、僕の脳裏に不安がよぎった。以前の悪夢では、「でも」からみんなにメッタ蹴りにされたのだ。
「下校が遅くなるから、一応親に言ってからね」
 ……よかった。これでよかったんだ。
「鈴木くん、本当に雰囲気が変わったよね」
「そう? ありがとう」
「私、驚いちゃった」
 それを聞いて、僕はとてもうれしかった。
「僕はずっと」
「……ずっと?」
「みんなを驚かせたかったんだ」
 僕は言った。それはそれで、ウソじゃない。でも、本当に言いたかった言葉はこれだ。
 僕はずっと、君を驚かせたかったんだ。

 僕の前に、見慣れた景色があった。そこは僕の部屋だった。
 その朝も、まだ暗いが、自分で調べて取り組み始めたインターバルランニングのしたくをする。ウィンドブレーカーを手に取る。
 そしてその朝も、こう書いた紙を貼ったドアを開く。

  進んで行動することが、本当に生きるということだ。

(了)
作品名:僕はずっと 作家名:Dewdrop