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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
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シャク(続・おしゃべりさんのひとり言187)

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シャク



地元の噂で「この町の山奥で、極秘に映画撮影されてるらしい」というのをよく聞く。
これは本当の話、ここ十数年くらい前から、この町の景色が出てくる映画が多く作られてるから。
中には時代劇も多い。こんな地方の片田舎なのに。ハリウッド映画のワンシーンまで撮影されていたらしい。
(でも噂になってる山奥ってどこ?)って思ってた。
それを偶然見つけちゃったんです。
近所の国道沿いに一部分だけ山に近接した場所があって、ただの空き地に見えるその土地は『立入禁止』の看板が立ってる。
たまたま近所の衛星画像をGoogle Mapで見てたら、そこに10軒くらいの密接した集落があるじゃない。
(え? こんなとこに誰か住んでるの?)
よく見ようとして場所を拡大してみたら、その施設名がもろ『〇✕オープンセット』って表示されたんだ。
確かに国道から見えない小山の裏に、映画村のごとく時代劇のセットらしき建物がたくさん組まれているのが、上空から写ってた。
こんな近所にいろんな俳優さんが来てたなんて。ひょんなことから、意外な事実が判明して驚きだ。
で、今日のひとり言は映画の話じゃなくって、時代劇に関して子供の頃から思ってた疑問が、意外なことに結び付いていったので、そのことについて話します。

(昔はよく時代劇をテレビで見たなぁ)と思うんです。大人が見てたから僕も見てたんだと思うけど、その劇中よく耳にするセリフで気になることが。

・・・街道沿いを歩く御一行。
道端でうずくまる旅の娘がいます。
「娘さん、どうされました?」
「いえ、大したことではありません」
「顔色が悪いようだが」
「少し持病のシャクが・・・」

このシャクって何?
どうやら病名らしいというのは分かるけど、そんな名前の病気は現代では聞いたことがない。
状況からお腹が痛い症状のようだ。
腹痛だとすると、下痢とか胃痛とかかもって気がするけど、持病って言ってるから、突発的なものじゃないと思うし、慢性的な痛みだとすれば何だろう。
それでシャクについて調べてみたんだけど、近代以前の日本においては、原因が分からない疼痛を伴う内臓疾患を一括した俗称らしい。
漢字で書くと『癪』。
「癪に障る」って言う時のシャクのことか。「腹が立つ」と同義語だとすれば、お腹の症状ってことでいいのかな?(・・・んなことないだろな)
そりゃ聞きなれないはずだね。現代では腹痛の各症状については原因が特定できてるから、より具体的病名で呼ばれてるもの。
結石や胆石、肋間神経痛や差し込みって痛みなど。
生理痛もそれに含まれるから、時代劇のシーンでは女性が多かったのかな?
(それなら察してやれよ)と思ったけど、声をかけるのがおせっかいなのかと言えば、そうでもなさそう。
と言うのは、どんどん調べていくと、その時代らしい背景がシャクという病気を一般的かつ深刻なものにしていたみたい。
それは驚いたことに、寄生虫による内臓疾患が結構多かったみたいだから。
昔はよく、ぎょう虫とかサナダムシっていう寄生虫が、内臓で暴れたりしてたのかな?
これは気になるねえ。

現代では、食品の衛生管理がしっかりできていて、寄生虫を誤って口にするような機会はほぼないと言える。
でも昔はそうじゃなかった。
淡水の貝や魚を生のまま食べるのは、現代でもリスクがあるから避けるべき。野草や山菜を採って、よく洗わずに食べるのもよくない。
昔はそういった衛生観念がなかったからって思ったら、それ以上の驚きの事実があったんだ。