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積 緋露雪
積 緋露雪
novelistID. 70534
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天国と地獄の婚姻

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鳥には巣を、蜘蛛には蜘蛛の巣を、人間には友愛を。

己を嗤う愚。そして無愛想でしかめっ面をした愚。どちらも賢いと考らむ、それらが鞭打たれるようとも。

現在証明されしものは嘗て、想像するのみもの。
鼠、二十日鼠、狐、兎は、根を見守りし、獅子、虎、馬、象は、果実を見守りし。

水槽は含有す、泉は湧出す
一つの思考は、無限に満つる。
絶えずあなたの心を語る準備をせよ、さすれば或る下卑たものはあなたを避けよう。

信じられしあらゆるものは真実の表象なり。

鷲はそのやうに多くの時を無駄にせず。鷲が群れの教えに屈服する時。

狐は己のために備へる。しかし、「神」は獅子のために備へる。
朝に考へよ、正午に行動せよ、晩に食べよ、夜に寝よ。
あなたに課されしものを蒙る彼はあなたを知る。
犂が言葉に連なるやうに「神」は祈る人に報いし。

 憤怒の虎は馴致されし馬よりも賢し。
 
 動かぬ水より毒を予期せよ。

 あなたは十分以上のものが何かを知らずば、十分なるものを知らぬ。
 愚者の咎めるのを聞き給へ! それは王の題なり。
 
 炎の目、空気の鼻孔、水の口、地の髭。
 
勇気に弱い事は、狡猾な強さになる。
林檎の木は橅にどのように成長するのかを尋ねず、同様に獅子も馬に餌をどのやうに獲得するかを。
感謝に満ちし受領者は豊かな稔を生む。

仮に他者が愚かでなければ、吾等が愚かなり。
美麗なる歓びの魂は決して穢れぬ。

汝が高を見し時汝は霊の一部を見し。汝の頭を上げよ!
芋虫が自身の卵を産み付けし時に最も美しき葉を選びしやうに、祭司は最も美しき歓びの上に呪ひを置きし。

可憐な花を作りし事は時代の労役なり。

この野郎。気を引き締めろ。安寧に祝福あれ。

最も上級な葡萄酒は最も古いものなり、最も良き水は最も新鮮なものなり。
祈る人は犂を引くまじ。賛美は収穫するまじ。
歓びは笑うまじ。哀しみは咽び泣くまじ。

頭は崇高。心臓は悲哀。生殖は美。手と足は釣合ひ。
鳥における空気のやうに若しくは魚における水のやうに、軽蔑すべきものにおける軽蔑なり。
烏はあらゆるものが黒なる事を望み、梟はあらゆるものが白なる事を望む。

充溢は美なり。

仮に獅子が狐に助言されれば、獅子は狡猾なりし。

「改善」は真っすぐな道を造りし、しかし、「改善」なき鉤状の道は、「天才」の道なり。乳母は欲望を押し留めしよりも、揺り籠の中で幼児を殺せ。

人間が自然でない処は不毛なり。

真実は理解されるやうに決して離せず、そして、信ずられず。

十分! 多すぎだ


古の詩人は「神」若しくは「霊」のやうに感得出来る全てに命を吹き込みし、それらは名で呼ばれそしてそれらを木、河、山脈、湖、都市、国、そしてそれら広大無辺で数多ある、感覚が感得出来るものの特性を古の詩人は崇拝す。
そして特に詩人たちは各各の都市と国の霊について研究せし、それを精神の神神と為し。
或る体系が形作られるまで、体系は木木などの物体から精神の神神として実体化若しくは抽象化する事を企てる事で世俗化したものを利用し若しくは隷属化す、かやうに司祭が始まりし。
詩的な話から礼拝の型が選びつつ。
そして遂に詩人たちは「神神」がかやうなものを秩序づけせしと語りし。
かくして人間は人間の胸にあらゆる神神があるのを忘れし。

記憶に残りし幻

預言者のイザヤとエゼキエルは吾と共に食事をし、そして吾は彼ら預言者に尋ねし、
如何に彼ら預言者は敢へて徹底的に言挙げしたのかを。「神」が彼ら預言者に話されし事を、そして彼ら預言者が誤謬してゐるのか、若しくは騙す事の因になりしかとその時に考へなかったのかどうかを。
 イザヤが答へし。吾は如何なる「神」にも出会はず。また、何も聞かず、有限なる有機的な感覚においては、しかし吾が感覚はあらゆるものに無限を見出しぬ、そしてかやうに吾はその時に説得されし。そして確信として残りし、誠実な義憤の声は「神」の声なり、吾は結果がどうあらうとも書かずにはゐられなかった。
 それから吾尋ねし、物事がかやうであり、かやうになるといふ堅固なる確信であるかと。
 彼は答へし。あらゆる詩人はさうなりし事を信ずる、そして想像力の時代においてこの堅固なる確信は山脈をも動かす、しかし、多くのものは堅固なる確信の唯一つすらも受け容れられず。
 エゼキエル曰く。東方の哲学者は人間の感覚が感得せし第一原理を教へし 幾つかの国国は根源の一つの原理として保持すそしてその外は他の原理として保持す、イスラエルの吾等は(あなた方が今はそれをさう呼んでゐる)「詩的なる霊性」が第一原理とあらゆるその他の派生しもの、その派生したものは、他の国国の「祭司」と「哲学者」達を吾等をして軽蔑させ、そしてあらゆる「神」は遂には証明されるに違ひなき予言と教へし。吾等において根源的なる事、それはかやうである、吾等が偉大な詩人たるダビデ王は余りに熱狂的に望み、あまりに感情的に祈願せし、かく言ひつつ、ダビデ王は敵を征服し王国を支配すと、吾等はそのやうに「神」を愛せし、かやうに吾等は周辺国からダビデの名で呪われ彼らは謀反を起こすと主張せられり、これらの意見から衆生はあらゆる国が遂にはユダヤの属国になると考へるやうになりし。
 かやうにかれは言ひけり、あらゆる堅固な確信のやうに、過去はさうなりし、といふのも、あらゆる国はユダヤ人の法典を信じ、ユダヤの神を礼拝す、そしてより偉大なる支配者に為り得ることに関して
 吾いくつかの驚きを以てこれを聞けり、そして吾自身の確信を告白すべきなり。夕食後吾はイザヤに彼の失われし作品と共に世界を好いているかと尋ねし、彼は如何なる等価価値をも失はれてをらずと言ひけり。エゼキエルもイザヤと同じだと言ひけり。
 吾、また、何が彼を裸にし、三年間素足にしたのかを尋ねし。彼答へし、吾等の友、ギリシアのディオゲネスと同じくしたまでの事と。
 吾は其処でエゼキエルに尋ねし。何故に糞を喰らひしかと、そしてかくも長く右側に横たわり、そして左側に横たわりしは何故か? 彼答へし。無限を知りし他の人びとに生じし欲望 これは北アメリカの民族が実践せり、そして彼は彼の霊性と意識に抵抗せしは最も誠実故にかと。唯、現在の安寧と満足のため為りしか? 


世界が六千年の終はりに業火の炎で焼き尽くされるといふ古代の伝説は真実なり、吾は「地獄」より聞きしやうに。ここで、炎の剣を持てし「智天使」が命の木を守りしものを去らせるように命令したために、そして、彼がそのやうにし、そして、あらゆる創造物は焼き尽くされ、そして無限が現はれし。そして、一方で聖は現在、有限に堕落せし。
 この意思は官能的な快楽の進歩を実現す。
 しかし、人間が魂と全く違った肉体を持つといふ最初の考へは、消去すべきなり、吾がこの事をするだらう、浸食する地獄の理論を刷り込まれ、それは「地獄」では有益で薬になり、見かけの表面を溶かしながら、隠されてをりし永劫がその姿を現はし。
 知覚の扉がきれいにされしならばあらゆるものはかやうに人間に現はれし、無限に。
遂に人間が彼の洞窟の狭い割れ目を通してあらゆるものを見るまで、何故なら人間は自身で閉ぢちし。


記憶に残りし幻
作品名:天国と地獄の婚姻 作家名:積 緋露雪