東京メサイア【初稿】
#14.事件
真緒在住マンション(14:40)
廊下側から玄関のドアに鍵をかける江藤
非常階段を降りる江藤
ビーストの前に立つ八村に首を横に振って真緒の不在を伝える江藤
遠くから乾いた排気音とともにシビックがビーストに近づく
シビックに注目する江藤と八村
シビックから降りる織場と招堤
手にラメ素材のミニショルダーバッグを持つ織場
織場 「知事、これが都庁に届けられました。加恵さん曰く、真緒さんの所持品ではないかと」
ミニショルダーを受け取り中からスマホを取りだす江藤
江藤「真緒のだわ」
険しくなる江藤の表情
江藤 「誰がこれを?」
織場 「ロックがかかっていて真緒さんの誕生日も知事の誕生日でも開きませんでした」
スマホを起動し4桁の番号を打つ江藤
待ち受け画面に現れる真緒の画像
椅子にロープで縛りつけられ猿ぐつわを噛まされている
背景は青空と低いビル群
画像に書きこまれたテキストメッセージ
『都庁から西5キロ、谷間のビルの屋上』
都庁に戻るビーストとシビック
ビーストからカズマとエミリを降ろす江藤
待ち受ける加恵に子どもを託す江藤
江藤 「迷子なの。ふたりをお願い」
都庁舎に入る江藤、八村、織場、招堤
内階段を2段飛ばしで駆けあがる織場、招堤
息があがり階段途中で休憩する横を江藤が抜き去る
続く八村の背中に溜息をつき階段を上り始める織場
展望台から双眼鏡でビル群を見る江藤
オペラグラスでビル群を見る織場、
テーブルに住宅地図を広げる八村と招堤
遠くのビルの屋上に椅子に縛りつけられた若い女性
倍率をあげてよく見ると真緒である
江藤 「真緒だわ」
織場 「誰がこんな・・・」
地図に定規で直線を描く招堤
目盛りは図り対象建物に赤鉛筆で丸印を掻く招堤
招堤 「特定しました」
10階建ての雑居ビル(15:30)
通用口の扉が少し開いている
扉の脇に取りつく織場と招堤
織場 「武器を持った犯人がいるかも知れません」
八村 「ここは慎重に・・・」
織場の忠告を無視して扉を押し開け階段を駆けあがる江藤
八村 「知事、待ってください」
叫びながら江藤にあとを追う八村
塔屋にたどり着く江藤、八村
江藤を制して八村が屋上の扉を開く
がらんとした屋上の真ん中に誰も座っていない事務椅子
椅子の足元に千切れたロープ
屋上の安全を確認する織場と招堤
椅子の背もたれに貼り紙が貼られているのを発見する織場
江藤を呼び寄せ貼り紙を見せる織場
『娘を預かっている
返してほしければ1億円の現金を用意しろ
18時に晴海ふ頭第8倉庫で待つ
少しでも遅れたり金の用意ができなかったり
または警察が動くようなことがあれば
娘は東京湾に浮かぶことになる』
江藤の表情が強張る
屋上の手すりから身を乗りだして下界を見渡す招堤
作品名:東京メサイア【初稿】 作家名:JAY-TA