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令和七年随想録

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決め事 その1


去年あたりからこれまで願い続けてきた決意を実行できるようになった気がする。
その決意とは、何事にも執着しないこと。
人にも物にも、頭にこびりついた過去にも。

差し向きしっかりと自分に言い聞かせないと守れない執着は、「人への執着」である。
家庭に恵まれて生育して来た者は何も決意などしなくても、自然体で誰にも執着しないでいられるだろう。私はいつも独りだったし、力強い存在に守られずに育ったから、近寄って優しくしてくれる人に対して執着心が強かった。

子供の頃に知っていた人にひょっこり会った時、私の家に来てさよならするときなかなか帰れなかったと回想していた。他の人からもそういう話を聞いたことがある。

自分で思い出せる範囲では、親類の姉ちゃんと思っていた人や大事にしてくれていた人もいつかは自分の元を離れるのだという気持ちがあった。
老境になった今でも、執着しているのは自分のほうで、相手は複数の身内や友人に囲まれている。だから自分から連絡することがほとんどだ。

このような状況はいわば宿命のようなもので、元を辿れば母親がたったひとりで私を産み育てたからなのだ。亡くなった母は兄弟姉妹が大勢いたので、私の気持ちは分からなかったかもしれない。


作品名:令和七年随想録 作家名:笹峰霧子