テッカバ
――となれば、必ず何かおかしな事があるはずなんだけどな。
私はゆっくりあの時の事を思い出す。
黒いレインコートを着た人がステージ脇から来て、神田さんが刺されて、犯人が飛び降りて、会場がパニックになって、……
その瞬間、私は気付いた。明らかにおかしい事があった。
そしてその矛盾の意味するところを考えるて……私は確信した。犯人は九谷さんではない。
しかし問題は証拠だ。もし私の考え通りだとすると犯人には最強の逃げ道が存在する。そこからも逃がさないだけの方法があれば……あった。
私は再び奈々子の報告書を見て、死体も確認。うん、この順番で追い詰めれば完璧。
「ありがとう奈々子。おかげでこの賭け、勝てそう」
「へー。意外とミッスン頭良いんだ」
「どうでも良いけどそのあだ名は本当やめて」
――そして、私の初めてのギャンブラーとしての戦いが始まった。