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テッカバ

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「うむ、出口は封鎖してあるから問題ない」
 見知った雰囲気で会話する警部と京橋さん。
 何で京橋さんは警部の事を知ってるの? それにマークしてる男って?
「おお、言い忘れていたね。京橋君は実は私の部下なんだよ」
「部下って……刑事!」思わず素っ頓狂な声を上げてしまった。
「そうよ。三日前の事件の時も捜査に参加してたんだけど、気付かなかった?」
 全然。悪戯っぽく笑う京橋さん。
「今回の採用試験で何か起こると踏んだ警察上層部の命令で受験者として忍びこんだのよ」
「何かって何ですか?」
「不正な採用。今回の試験官であり、被害者でもある神田だけどギャンブラーという立場を悪用して裏でいろいろやってたらしいの。だから今回も必ず彼にとって有利な人材、つまり彼の手下を無理やりにでも合格すると考えたわけ」
「誰かって?」
「消去法で考えてみろ」
 いきなり例の態度は悪いけど頭脳派探偵、赤坂が割り込んできた。
「受験者は四人。お前でも無くこの女刑事でもなく俺でもなきゃ誰だよ?」
「……あの影の薄い塾講師!」
「そう、上野だ」
 信楽警部が後を受ける。
「京橋を除く受験予定者の身辺を部下に調べさせたところ、上野氏は亡くなった神田氏と頻繁に連絡を取っていた。だから試験で不正が行われないよう京橋君が見張っているはずだったのだが……」
 じっとりした横目で警部が京橋刑事を睨む。
「……すいません。いきなり目の前で事件が起こって動転しちゃって、何が起こったかよく覚えてません」
 仕方ないよね。私だって二度目じゃなきゃこんなに落ち着いて無い。
 落ち込んだ様子の京橋刑事に赤坂が追い打ちをかける。
「へっ。気にするな刑事の嬢ちゃん。どうせあんたが見て無くても会場中があの女の犯行を見てたんだからなあ。あんたが役立たずでも事件は解決するさ」
 ますます落ち込む京橋刑事を放って私たちは赤坂が向いた方を視線で追う。
 複数の刑事に囲まれ、取り調べをされている九谷さん。さっきモニターの前で会った時とは打って変わってひどく焦っている様子だ。
「私じゃありません! 私確かに試験の手伝いとして神田さんを刺すパフォーマンスはしましたけど、あれは血糊を破るだけの刃の無い偽物のナイフです!」
「しかしねえ……実際君が被害者を刺す所を見て、君が自分でやったって言った直後に被害者の死亡が確認されてるしねえ」
作品名:テッカバ 作家名:閂九郎