小説が読める！投稿できる！小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ！

その中年女性は、貧困と憤怒に満ちた生活を送っており、その娘の高校生、多幸子は母親の暴力に耐えながら、自分の未来を切り開こうとしていた。ある日、私立高校の担任教師から奨学金申込の期限が迫っていることを知らされたが、母親はその手続きを怠っていた。母親はなんとか学校に書類を提出したものの、押印がないため印鑑を取りに家に戻ることになった。
　しかし提出期限が迫っているにもかかわらず途中でファミレスに立ち寄り、そこで傷害事件を起こし、警察に捕まった。成功体験の乏しい多幸子は悟性的意思により、時間内に奨学金申請書を提出することを決断し、夜道を全力で走り出した。十三夜の月が輝いていた。