鉄オタ(続・おしゃべりさんのひとり言174)
鉄オタ
僕は鉄オタではありません。
でも「鉄オタなの?」って聞かれます。
でも鉄オタではありません。
鉄道に乗るのは好きですよ。
でもそれだけで鉄オタって訳じゃないでしょ。
鉄オタと勘違いされる理由は、鉄道について、またその車両について、一般人よりちょっとだけ詳しいからです。
そんな話題になれば、「やっぱり鉄オタじゃん」って言われそうですが、そんなことはありません。
僕が友達に話した内容の一つを紹介すると、JRの踏切の遮断機が下りたので、家族3人で電車の通過を待ってたら、貨物列車がやって来ました。その時僕は、
「ええーーーー!!!地下鉄や~!」と叫んでしまったのです。
妻と娘は驚いてその列車を見ます。
それは『東京メトロ』のマークが入った正真正銘の地下鉄車両が関西のJR線を走っていたのでした。
つまりJR貨物の電気機関車が引いていた貨物車両が、その地下鉄車両そのものだったという訳です。
神戸の方で製造された様々な鉄道会社の新規車両が、こうやって全国に出荷されているのです。
これを『甲種輸送』と言います。って話を他人にしただけなんだけどな。
僕は(なんだろ?)(どういうことだろ?)って疑問が湧くと、すぐに調べてしまう癖があるんです。
その結果、(ああそういうことかぁ)って納得するだけなんですけど、そういった知識が蓄積されてくると、何かのきっかけで人に説明してあげる機会も増えるというものです。
それについて鉄道ってテーマは、よくその機会が訪れるんです。
僕は自動車や船舶、飛行機でも同じようにネットで検索していろいろ調べているので、同じように少しは一般人より詳しくなっています。
でも、それらの知識を披露しても「車オタ」「船オタ」「飛びオタ」とか言われません。
色んなことに興味を持っているだけですしね。
でも世間では、なぜか「鉄オタ」の認識だけが、群を抜いて違うオタクのように捉えられがちだと感じます。
そんな僕が最初に鉄道に興味を持ったのが、小学校4年生なってすぐの頃。
3年生の時には、スーパーカーブームというのが全国的に巻き起こり、ミニカーやスーパーカー消しゴム、カードとかに“ど”ハマリしました。
父さんのカメラを借りて、国道沿いでそういったカッコいい車が通るのを待って、写真を撮ったものです。
この世代の男性なら、誰もがランボルギーニやフェラーリ、ポルシェに憧れたはず。
でもそのブームは一年で終息し、僕らはのめり込む対象を失ってしまいました。
そんな中、クラスに鉄道好きの岸木君がいました。
小学生なのに、学校に時刻表を持って来て、毎日その鉄道ダイヤを眺めている変な友達です。
一体それの何が面白いのか解りませんでしたが、彼の家に遊びに行った時、列車の写真を見せてもらいました。
この当時の僕には、鉄道写真と言えば、煙を吐いて走るSLの額装写真が、じいちゃんの家の応接間に飾られているのを見たことがあるくらいです。
でもSLじゃない普通の電車の写真なんて(何の価値もない)と思っていました。
ところがアルバムに整理されたそれらには、旧国鉄の特急、急行、普通車、貨物等々の他に、私鉄の電車もあって、そのバリエーションの豊富さに心を奪われました。
「線路まで写真を撮りに行こう!」と言って盛り上がるのは、スーパーカー・レスを埋める手段として魅力的だったからです。
でもその線路は、自転車で30分くらいかかる所です。つまり小学校の校区外になります。
子供だけでそんなところに遊びに行ってはいけません。しかも自転車で。
・・・僕らは悪ガキですので、そんなことは気にせず、校則違反を犯しました。
さすがに父さんのカメラを持って行く訳にはいきませんので、僕らは身一つで東海道本線の線路に向かいます。
そこには、快速電車、急行、特急や貨物列車が走って来るのです。
最初は見分けなんかほとんど付きませんが、岸木君が説明してくれて、その違いを知ることができました。
線路脇から至近距離で通過する電車に興奮します。手を振るとホーン(汽笛)で応えてくれる運転手もいますから。
作品名:鉄オタ(続・おしゃべりさんのひとり言174) 作家名:亨利(ヘンリー)