占い(続・おしゃべりさんのひとり言173)
島君は予約を取って、アヤさんのオフィスを訪問しました。
そこにあったのは、なんと、30年くらい前の古いPC(Windows以前のDOS-PC)だったんだと。
昔から変わらずそのPCデータで占いを継続されていたようです。
それなら、(そのPCにインストールされている占いアプリが欲しいわ)と思いますが、正直に言うと、その当時のPCにそれほど多くのデータは保存できません。
PCで運勢を占うというのは、一種のパフォーマンスだったのではないでしょうか?
そこで、「結婚するので相性はどうか?」と島君が尋ねたら、
「やめときなさい。50分の47番です」と言われてしまったそうです。
この『50分のホニャララ』という数字は、僕も忘れかけていましたが、二人の相性の目安になるもので、ホニャララの数字が大きいほど、相性はよくないのです。
昔のラジオでもそれが決めセリフのようになっていて、その数字にスタジオはどっと沸いたものです。
それにしても島君たち、47とはかわいそうに。僕は「そんなん気にするな」と一応慰めておきました。
そしてその話を妻にしたところ、妻も昔、ドライブデート中によくこの占いコーナーを聞いていて、「易学アヤさんすごいね~」って言ってたので、
「僕らも行ってみようか?」って話になりました。
早速、島君に電話番号を聞いて予約したのですが、予約が取れたのは2か月後でした。
予約当日、僕ら夫婦はワクワクしながらアヤさんのオフィスに向かいました。
道中「絶対、50分の1番やって」っと、気楽な事を言っていたんです。
いざ占ってもらうと、まずその風貌に圧倒されました。
ラジオで付いていたイメージは、品のいいおば様だったのですが、そこから成長した大樹のような存在感。決して太っておられるとかじゃなく、雰囲気が1億MP(マジック・ポイント)の賢者でした。その大きさに圧倒される感じです。
これじゃ、(何言われても信じてしまうな)ってほどのオーラのあるおばあちゃんなんです。でもおばあちゃんらしかったのは、聞いていた通り古臭いPCをテキパキと扱ってるところ、眼鏡を何度も触るしぐさが印象的でした。
話してもらった内容はごく普通のことばかりで、特に質問もされてないのに、どんどん僕らの普段の様子を言い当てられていきます。
「家族サービスはよくしてますね」とか、
「去年は海外旅行に行きましたね」とか、
「夫婦共働きでも、プライベートな時間は共有してますね」とか、
「娘さんはルーズでしょ」などなど、
本当に結構当たってる。
そして最後の相性の告知は・・・
「50分の3番ですよ」
帰りの車の中で、「1番じゃないんかぁ」とか言って残念がっていましたが、代金は高かったものの、予想通りの好結果に十分満足しました。
ところで島君はそのまま結婚したのですが、半年後に離婚したものの別居はせず、さらに半年後に同じ相手と再婚されました。
それについて本人から、理由は一切語られませんでしたが、
(まさか、あの占い結果をリセットさせたかったのでは?)とか邪推してしまいます。
こんなことがあって僕は、アヤさんの占いは信じています。
でも妻以上に相性のいい人が、僕にはあと二人くらいいるんだな?
きっと、あの人とあの人だ・・・・・・・・・・(冗談です)
つづく
作品名:占い(続・おしゃべりさんのひとり言173) 作家名:亨利(ヘンリー)