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ボクとキミのものがたり

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外が薄暗くなっていた。夕暮れが早くなったかな。
また。キミが足音静かに近づいてきた。
「にゃん」「ここに置いて にゃん?」
ボクは 原稿用紙を少しずらし頷いた。キミが手に持つものを机の端に置いた。
三段に積みあがった白く丸いもの。正体はだんご。
お月見団子だ。
また、キッチンに戻ったと思ったら何やらひらひらと割りばしの先についているものを差し出した。
「これって あれ?」ボクはクスリと笑って飲み終わったカップに差した。

うまく積みあがった団子は少し潰れていた。しかし、にゃん語でなくキミが語る。
月見団子にも云われある形状があるようだ。感心してしまったボク。

ちゃぶ台に運ばれた器には 串刺しの団子に餡子やとろりとした甘だれがついていた。
「はい。あ~ん」
「え?これも?」
「にゃん、健康と あ~ん 幸せに あ~ん」
仕方ない。こればかりは今に始まったことではないが、月夜の時に 月に見られてあ~んとは。口の端についてしまったじゃないか。

キミが教えてくれるさりげない事、もうどれくらいあるかなぁ。ボクがひとつ知るたびにやっぱりキミが好きでたまらないとわかる気持ち。
白い団子ひとつひとつ転がし纏め 積み重ねて美しい月を愛でる。キミは何を願う?
キッチンペーパーで作ったススキも粋なものじゃないかと机に置かれたお月見飾り眺めるボク。ボクの願い・・・そろそろ月に帰ってしまわないかとキミの横顔を見るボクの脳裏に流れるタンゴ。似ている言葉だなと笑いをこらえる。
ただそれだけなのに……。



     ― Ω ―


作品名:ボクとキミのものがたり 作家名:甜茶