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黒薔薇研究会の真実

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 しかし、原作というものは、基本的にドラマとしての原作として書かれたわけではなく、小説は小説だ。だから、小説の中で、小説家は、その思いのすべてをぶつけることはできるという意味で、自由だといえるだろう。
 しかし、シナリオに関しては、あくまでも台本であり、演技をする俳優、全体の撮影をまとめるプロデューサーや監督のそれぞれの意見であったり、彼らが、
「やりやすいように作る」
 ということで、
「シナリオを自由にはできない」
 ということになるであろう。
 それを考えると、
「シナリオに原作があるものと、脚本家オリジナルであれば、どちらが楽か?」
 ともし聞かれたとすれば、何も知らないと、
「原作がある方が楽に決まっている」
 と思うだろう。
 しかし、脚本家が自由にできない以上、原作があることで、脚本家のオリジナリティというものは、少なくなるといってもいいだろう。
 だから、
「小説とシナリオでは、書くとすればどっちがいいか?」
 と言われた時、
「小説がいい」
 と答える人が多いだろう。
 しかし、実際には、
「その土台というものの視点が違っているのだから、答えが出るわけもない」
 と言ってもいいだろう。
 それを考えると、このサークルの部長昇進というものも、佐土原も、実際にはその出来栄えで評価を下すとは思っていなかった。
「それに対する姿勢」
 というのも、立派な評価であろうが、それよりも、
「これらを考えている時、どれだけ自分の考えに似てくるか?」
 ということになるのだろう・
 ということを、佐土原は考えたのだ。
 ただ、最初に脱落したのは、鹿島だった。
 鹿島は、
「誤飲があることから、自分の毒殺の説に勝ち目はない」
 と思った。
 そしてこの瞬間から、勝者は決まったのだ。
 これは、
「三すくみという抑止が利かなくなった」
 ということが原因であり、そこまで考えると、誰が最後に残るかということは分かるというものである。
 もっとも、これは、
「最初に動いたのが、誰なのか?」
 ということにかかわるのではないが、そのことを、最後に残った人間が、自分の小説に付け加えるということになるのだということが分かってきた。
 それを思うと、
「三すくみは、最初に動いたものは、絶対に生き残れない」
 ということになるのであって、最終的に、部長である佐土原は、
「部長職から抜けることができたのだろうか?」
 ということになるのである。

                 (  完  )
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作品名:黒薔薇研究会の真実 作家名:森本晃次