㊙ 未知ワールドへ、ようこそ! 第1話 ㊙根暗出る樽 渓谷
9話 帰路へと
これにユユリリララさんは「そうなの、『㊙ビーナスの森』なの、あそこは途中で磁石が使えなくなって方向がわからなくなるから、そうだ、半年前に生まれた『露払いの助』を連れ帰ったらいいわ、ヤツに指示しておきますから」と仰れました。
残念ながら私たちはユユリリララさんの好意を「そんなガキンチョのアイツ、結構です」と断れず、奈那さんが小さな声で「ありがとうございます」と返されました。
ユユリリララさんは私たちの心の奥底を見抜かれたのか、「アイツ結構いいヤツよ、ホホホ」と。その後は「またの再会を楽しみにしてますわ、そちらの頼りないホモ・サピエンスのオスたちもね、帰路も奈那さんをしっかり守るのよ、それじゃ皆の衆、バ~イ、バ~イ!!」と仰られ、さっさっと奥の方へと立ち去って行かれました。
その後ろ姿を目で追いながら、「ネアンデルタール人って割にあっさりしてるな」と私が話すと、奈那さんも「さっ、帰りましょ」と軽く放ち、くるりと踵(きびす)を返し、さっさと元来た道へと歩いて行かれました。
それを追い掛けながら、ホモ・サピエンスの女性って、とにかく思考の切り換えが超高速と再認識した次第です。そんな折、背後から追い掛けるホモ・サピエンスのオス2匹に対し、リーダーの背中越しに飛んで来たのです、命令が。
「旅プランの次のお試し訪問は『㊙ビーナスの森』、次の日曜日、お二人の時間と労力とお金で、絶大なるサポートよろしくね」と。
「おいおいおい、なんでサポートの中に頭脳は入ってないねん!」と刃向かいそうになりましたが、「だって、あなたたちにその能力ある? ネアンデルタール人のユユリリララさんもホモ・サピエンスの男は……、って話されてたでしょ」と言われそうで止めました。
その代わりに、ここは格好付けて「It’s an honor! (光栄です!)」と返しました。その後、あの生意気なAIロボット『露払いの助』を「ユユリリララ様の命令ぞ、不運だと思うが、連れて行く」と告げ、無理矢理確保。
それにしても今回訪問地『㊙ 根暗出る樽渓谷』は最高に面白かったです。
さてさて次の訪問地『㊙ビーナスの森』って、どんな所なんでしょうね。そんな期待に胸を膨らませたのであります。
以上、何はともあれ、『㊙ 未知ワールドへ、ようこそ!』のプラン1は目出度し目出度しでした。
そしてプラン2、乞うご期待を!!
完
作品名:㊙ 未知ワールドへ、ようこそ! 第1話 ㊙根暗出る樽 渓谷 作家名:鮎風 遊