お教とお香の覚醒
「絆」
というものは、結構深かったりするのだった。
山村は、
「俺も考えすぎなのかも知れない」
と思っていたが、実際には、
「考えないといけないところが少し意識が抜けている」
といってもいい。
それが、勘違いということなのか、それとも、どこまでを考えればいいということなのか?
ということを考えていると、
「そもそもの科学の証明というもの」
が、どういうことなのかが、見えてきた気がした。
これは、
「口で説明しても、容易に分かることではない」
といえるだろう。
そして、最近になって、やっと、
「何かの呪文のようなものが必要な気がしてきた」
ということが分かってきた。
それを、今まで、
「宗教による悪しき伝統」
と思い、いい方に考えてこなかったことで、まったく意識もしていなかったことが分かってきた。
呪文というものも、魔法使いの、
「枕詞」
といってもいいほどのことなのに、意識をしていなかったというのもおかしなものだ。
それが、
「お経というものであり、それを覚醒させるために必要なものが、お香なのだ」
ということを感じたのだ。
それが、博士の研究への第一歩だったのだ。
博士の研究は、これからも、まだまだ続くことであろう……。
( 完 )
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