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静岡のとみちゃん
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悠々日和キャンピングカーの旅:⑪信州の旅

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■旅の6日目:斑尾高原⇒道の駅「花の駅千曲川」(長野県飯山市)


【今日の走ったルート】 斑尾高原の「希望湖(のぞみこ)」を回り、北上して日本海側に向かった。直江津に出てからは日本海沿いに並走するR8を走るも、なかなか海が見えず。海岸に向かう路地を見付けて入っていった先の「土底浜(どそこはま)古屋敷海岸公園」には、新潟県の海の眺望が待っていた。そして、柏崎港に立ち寄ったあとは、長岡に住む知り合い、そして小千谷(おぢや)の友人と再会した。十日町を通過して、再び長野県に入り、道の駅「花の駅千曲川」で車中泊。

【この日の忘れられない出来事】 四十数年振りに再会できた小千谷の友人との語らい。

【旅の内容】 今朝も5時過ぎに目が覚めた。自宅ではいつも7時半頃に起きているので、1時間半の儲けだと、ちょっと訳の分からないことを言いながら、バンクベッドとダイネットの間の遮光カーテンを開けると、ダイネットはカーテンを閉めているにも拘わらず明るく、今日も晴れだ。

 湯を沸かして、ドリップコーヒーを淹れて、そのカップを持ったまま、「ジル」の外に出ると、高原の朝の気持ち良さを感じた。そのまま、パーキングの端まで歩きながら、斑尾山の方角を見た。昨日はあまり意識しなかったが、改めて見上げると、山頂はここからは300mほど高いくらいだ。北信五岳の中で斑尾山は、道路が山頂に最も近い場所を走っていることを知った。
 といって、そこまで行ってみる気持ちは起きなかったが、コーヒーを飲みながら、朝の景色を十分に堪能できた。

 「ジル」に戻ってきて、今度は、インスタントコーヒーを飲みながら、昨夜の続きの「旅のメモ」を書き始めた。昨夜と違って眠気はなく、サクサクとPCのキーボードを叩き、昨日の分を書き終わった。
 朝食は、レンチンした野沢菜のおやき、ベーコンとさんまの蒲焼を挟んだホットサンド、コーヒーと牛乳、十分過ぎるほどの量で、自宅の朝食より多めの朝食を平らげた。旅を支えるのは朝飯だ。

 斑尾高原から東側の、長野県最北の飯山市に下り、「遊歩百選」のひとつに選ばれている日本の原風景を眺めてから日本海側の直江津に向かうことを計画していたが、急遽、「希望湖(のぞみこ)」に立ち寄りたくなった。
 そこは昨日、妙高駅近くの観光案内所で教えて頂いた車中泊ができそうな湖で、是非、見ておきたいと思い、ハンドルを切った。
 森の中を突き進むと見えてきた希望湖は南北に長い人口湖で、北側のみが道に面しており、それ以外は深い森に囲まれ、湖越しに斑尾山が見えた。
 数人の釣り人がいた。近くの釣人を見ていたら、ちょうど魚を釣り上げたので訊いたところ、ブラックバスとのこと。それは26cmの大きさだったが、先ほどは46cmのものを釣ったとのことだった。この湖はバス釣りで有名らしい。湖畔には貸しボート屋があり、それに乗って、湖の奥の方でバスを釣るのだろう。

 その風景を見ながら思い出したのは、今現在、まだ手を出していない「舟遊び」のことだった。
 社会人になってからだったが、勤務先のボート部(漕艇部)で、3年ほど真剣にボートを漕いでいた。それがきっかけで、水と親しくなり、やがてカヌーの川下りにはまってしまった。
 その後、仕事の関係で海外に赴任し、ボートやカヌーからは遠ざかった。
 5年後に帰任してからは、小さなモーターボートに興味が湧いた。考えている遊びの内容とコスパなどを考えて、自動車の車検に相当する船検(船舶検査)が不要な3m未満のアルミボートに、免許が不要の2馬力の船外機を搭載して、湖や流れの遅い川で遊ぶことだった。
 その頃はまだ仕事をしていて、休日は、バイクの「ツーリング」とパラモーターの「空の散歩」で忙しく、「舟遊び」までは手を出せないまま、今に至っている。
 今、もし、この小さなモーターボートを保有しているならば、色々な湖での「舟遊び」を楽しんだのかもしれない。そのためにも、車高の高い「ジル」にモーターボートを載せる方法について、色々と検討し、試行錯誤したことだろう。

 希望湖からR292に向かったが、わずか4kmほどの道がたいへんで、「ジル」では二度と走りたくない道だった。
 マップで見る限りでは問題はなさそうだったが、途中から道幅が車1台分になり、さらに所々で、通過するにはギリギリの場所があり、「ジル」の側面や屋根に木の枝が擦ってしまう音が聞こえて、その都度、ごく低速で走って、やばい、やばい、の繰り返しだった。対向車が来なかったのはホントにラッキーだった。

 この「やばい」という言葉は、私がまだ若い頃、やくざが使う言葉だったように記憶している。事態がまずい様を表す言葉だと理解していた。しかし、今の時代、その意味もあるが、意外性があって面白いとか、かっこいいとか、多くの人が使うようになり、その時の空気を読まないと、どの意味なのか分からない。
 以上の補足説明は不要かもしれないが、言葉は世に連れ、変化するものなので、ちょっと付いて行けない時もあるが、それでいいのだろう。さもないと、国語辞典の改訂版も出なくなってしまう。

 この紀行文を書きながら、Google map のストリートビューで、この道をたどってみたが、よくぞこんな道を走ったものだと心拍数が上がってしまった。やはり、「やばい」の表現が的確だったと確信した。
 苦労して走ったこの道は、日本の原風景の真っただ中の道と言っても過言ではなく、十二分に味わった気がした。

 R292(飯山街道)で山間を抜けるように北上して、県境を越えて新潟県に入った。ここは関田山地(せきださんち)で、北陸新幹線はトンネルでこの下を抜けている。やがて上越市がある高田平野の南の端に入り、開けたままで運転している窓から流れ込む風が暑くなってきた。
 やがて、R18との立体交差が見えてきた。その袖のランプから上新バイパス(R18)に乗り、直江津市街に向かった。

 R18から、日本海沿いに北上する直江津バイパス(R8)に入ったものの、なかなか海が見えてこなかった。R8に入らずR18をそのまま北上していれば、直江津港の埠頭にたどり着いたはずだ。次回の旅では、そこに行ってみることにした。

 海岸に出られる場所を探しながら走っていると、助手席側の車窓からは防風林のような松林が続くのが見えた。その先に見えた「土底浜(どそこはま)」という看板に導かれ、左折して海岸に向かった。路地を進むと海側が開け、その先で道はなくなり、そこに駐車場があった。
 その周りで草を刈っていた高齢の女性がいたので、どこを通れば海に出られるのかを聞いたことがきっかけで、会話が始まった。彼女は長崎に住んでいたことがあるとのことで、私の実家が福岡県ということもあり、九州の話で盛り上がってしまった。
 会話のあと、教わった道を歩き、海が見渡せる高台に出た。海岸にはずらーっとテトラポットが並んでいて、そこまでは下ることはできなかったが、久し振りの海の景色を眺めていた。この海が見える場所は「土底浜古屋敷海岸公園」だった。