極端なカミソリ研究(続・おしゃべりさんのひとり言151)
極端なカミソリ研究
『秒速2センチ』
男にとって朗報ですよ。
このスピードでカミソリを使うと、刃こぼれしないんだそうです。
ヒゲを剃る時ってT字カミソリを使うと、すぐに刃こぼれしてしまうでしょ。
でもこのスピードで剃ると、刃が長持ちするんですって。
しかも肌を傷付けにくいらしい。
イグノーベル賞を取った研究成果です。
イグノーベル賞っていうのは、本家本元のノーベル賞とは違って(なんでこんなこと研究してるの?)って思うような『笑える研究』に対して贈られる賞です。
バカげてるようで、しっかりとした研究データとその評価が付いてる訳ですから、信じて試してみる価値はありますよね。
で、バカな僕は、これを試してみました。
今までヒゲ剃りは、フィリップス製の電動シェーバーを使ってたんですが、この実験のためにジレット製、5枚刃のヘッド交換式T字カミソリを買いました。
しかもカミソリの軸本体に電池を入れて、バイブレーションでヒゲを起こす機能まで付いてるやつです。でもそんな機能要りますか? ムダに高いんじゃないかと疑いながら買いました。替刃ヘッドは1年分でしょうか? 12個も付属しています。
そこそこいい値段するね。安い電動シェーバー買えますよ。
で、僕の挑戦は、ヒゲ剃り“秒速2センチ”を徹底して守り、このカミソリの刃の耐久試験をしてみようって訳です。
僕は結構ヒゲが濃いんで、何で剃るかって重要な事なんです。
硬いのでT字カミソリだと、力を入れ過ぎて皮膚まで削ってしまい、剃り跡一帯が血だらけになることがよくあります。乾くと毛穴のカサブタが細かいラメのように、口周りを飾るようなことになってしまうんです。
だから電動シェーバーしか使ってこなかったんですが、出張とかでホテルに滞在すると、使い捨てのT字カミソリが置いてあるでしょ。必要ないのにそれ貰って帰る貧乏な癖があって、家の洗面所に置いておくと、たまに使っちゃって、毎回血が・・・。
そんな100円ショップでも売ってるような使い捨てカミソリなんて2枚刃でも、2~3回使ったらもうゴリゴリする感じで、全然剃れてないんです。だから余計に力を入れてしまって、血だらけ・・・ってことです。
それをジレットの高級品ならどれくらい持つか試し始めたのが、ちょうど1年前です。
それから毎日、真面目に秒速2センチを守り続けて来たんです。そうしようと思い続けられたのは、ジレットのカミソリの使い心地が、予想以上に良かったからなんですよ。
最初は電動バイブレーション機能に驚きました。フィリップスの電動シェーバーもすごくいい製品ですが、それが比べ物にならないくらいよく剃れましたし、強く押し当てても、まったく血なんか出ないんですよね。
過去に3枚刃くらいなら使ったことありましたけど、5枚刃なんて(値段を吊り上げるためにやり過ぎだ)と思ってたのに、全然肌当たりが違うじゃないですか。
石鹸付けなくても水だけで、スルスルと滑ってよく剃れるんです。
剃り跡を手で触るとツルツルしてる感じ。こりゃたまらん。
(こんな上等なカミソリなら、秒速2センチで使い続けて、替刃のスペアが11個もあれば、1年持たせることができるんじゃないか?)初めはそう思いました。
家族に使われちゃ実験にならないから、そこは念を押しておいて、妻にも娘にも使用禁止を守ってもらいます。
ところが最初の1ヶ月で、バイブが動かなくなりました。電池を交換してもダメです。防水に問題があったのかな?
こんな場合僕は、分解して修理することが多いのですが、バイブが動かなくても何も遜色なく、ちゃんと剃れてます。じゃ、それで十分でしょ。こんなギミック機能なんか無い、もっと安いモデルを買うべきでした。
剃る箇所は、鼻の下、口周り、もみあげ、顎から首。あとはたまに腕毛です。結構酷使しています。
電動シェーバーだと、ヒゲをスパッとは切らずに、引きちぎってるような切り方なので、ヒゲの切断面が縮んで、剃り跡が目立たないらしい。
一方カミソリはスパッと切れた分、断面積が大きいので、剃った跡が青ヒゲのように目立つと言われます。
確かに今まではそういう実感でしたけど、このジレットの5枚刃は、5段階にヒゲを引っ張り出して剃るためか、チョー深剃りになって、肌にヒゲ跡なんか浮いて見えないほどです。
よく研究されてるなと、メーカーの研究開発努力には驚きです。
先月で、あれから丁度、1年経ったんでその結果を発表しますが・・・、
なんと! 一度もスペアに交換しませんでした。
これはすごい結果じゃないですか!?
1年間ですよ。替刃ヘッドのスペアが11個も残ってるんですよ。コストパフォ~マンス最高~! 月換算したら、50円以下ですもん。
(ついに交換してみると、もっとよく剃れましたけど、交換しなくても十分剃れてましたね)
これだとあと10年、替刃を買い足さなくてもいいってことでしょ。先にサビるんじゃないかな?
製品品質を追求したジレットの5枚刃がすごいのか、笑いを巻き起こしたイグノーベル賞の研究がすごいのか。
正直なところ、(どっちもそれなりのモンだろ)って思って、「期待通りにはいかないな」ってレビューを書く結果になるって予想してたのに。
どちらもすごい研究の努力があったんだろうなと感服いたしました。
つづく
作品名:極端なカミソリ研究(続・おしゃべりさんのひとり言151) 作家名:亨利(ヘンリー)