悪魔への不完全犯罪
この計画は電光石火で行われ、まだ、河村が、獄中にいる時に行われた。これも、アリバイは完璧である。
いつかは、妹の仇をうった。
今頃、妹に、
「お姉ちゃんが悪かった。あんな男と関わってしまったことで、お前を先にいかせてしまった」
ということを言いながら、死んでいったに違いない。
河村は、実は、自分も自殺をもくろんでいた。
それも、心中を考えていたのだ。
そこで、どうしても、必要だったのが、警察に対して、
「この事件は一連の犯行であり、その中に、交換殺人が計画されていた」
ということが、分かるようにする。
ということであった。
それを行うことで、
「いつかは、完全な蚊帳の外に置くことができる」
ということで、この犯行が、すべて、
「自分による犯行だ」
ということを思わせる必要があったのだ。
これは、河村の、
「男としてのプライドであり、死んだ彼女に対しての、救いとなる」
と考えたからだった。
交換殺人がどのように影響してくることになるか、正直分からなかったが、もし、計画されたとすれば、
「完全犯罪」
となったことだろう。
犯行を行っていれば、完全犯罪となるが、行うところまでいかずに終わるというのは、他の
「不完全犯罪」
とは違ったものだといえるのではないだろうか?
( 完 )
90