答えを出してくれる歴史
だが、そのあとはあっけなかった。
みずきが大学生になったとたん、二人は次第に冷めてきていたようだ。
まわりには、それを悟らせないようにしていたが、二人は会う回数も次第に減ってきた。
先生の方も、
「学校が忙しい」
という理由で、みずきの方は、
「大学に慣れるまで」
ということであったふぁ、それは、あまりにもあっけらかんとしたものだった。
「これが、歴史の出した答え」
ではないか?
と、みずきは感じるようになった。
そして、以前に夢で見たkとおを思い出していたのだ。
しかも、その夢が、二人でラブホテルにしけこんでいた時、先生の胸の中で見た夢だった。
というのが、
「先生は、たくさんのセーラー服の女の子に囲まれ、セーラー服でいる自分をまったく見ようとしない」
のであった。
その時から、
「先生は、私を好きなんじゃなくて、セーラー服の女の子が好きなだけなんだ」
と、先生が、ただの、
「制服フェチだ」
ということに気づいていたのだろう。
それから、少しずつ、みずきは冷めていった。
「あんな先生だったんだ」
と思うと、
「どうせ、今頃、私で味を占めて、他の音の子を物色しているんだわ」
と思うと、自分も、大学生の男の子を好きになっていった。
先生を好きになる前には感じたことのない感覚。それが、先生を好きになったことでなれるようになった。
先生には感謝しているが、大学生と先生を比べると、大学生がよくなってきたのだ。高校生のダサさはどこにもない。そう思うと、みずきは、深みにはまっていった。
二人は、そうやって、どんどん底なし沼に嵌っていく。それが、二人にとっての、
「答えを出してくれる歴史」
だったのだ。
そして、それが、
「デジャブ」
によってもたらされる。
それを思うと、
「私は一体何を見ていたのだろう?」
と考えてしまい、突っ走ってしまった先に何が待っているのかというと、
「進むこともできず、戻ることもできない、暗黒の世界というものが、広がっているだけなのではないだろうか?」
と感じた。
そして、
「きっと、先生も今同じことを考えているに違いない」
と思った時、
「必ず、二人ともどこかで後悔することになる」
と思うと、
「ひょっとすると、そっちが歴史が出す答えなのかも知れない」
と感じてしまい、
「歴史というものが果てしないのだ」
ということを、きっとその時に気づくことになるのだろう……。
( 完 )
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作品名:答えを出してくれる歴史 作家名:森本晃次