猫の女王
１７ 日元郷新聞地域版
１
『猫の大量死と男の遺体発見』
〇月〇日、日ノ元郷の日ノ元団地内における廃業中の銀行で、大量の猫の死体が見つかった。
死体は約二百余りにも及び、ほとんどが雑多な毛色のサビ猫の種。
床一面に折り重なり、中央には身元不明の一人の男性の遺体も発見された。
これらはすべて干乾（ひから）びた状態であり、その原因は不明。
発見者である総合警備の警備員は、次のように証言。
「昨日の午前八時の巡回時には、異常がなかった。しかし当日午前八時、室内にはアルコールや食べ物の匂いがたちこめていたが、宴会などの気配はまったくなかった。死体の周囲を含め、接客カウンターを中心にしたフロアはきれいに掃除された痕跡があり、なんとも不思議な気がした。これ以上、私にはなにも分かりません。とにかく、こんなことがあるのかと言う奇妙なおどろきで頭がいっぱいです」
この奇怪な猫集団と男の死について、現在、七千代署では、関係性など事故と事件の両面から捜索中である。
●完
（後書き）
この物語は、架空の団地に生きる猫の世界を描いたものです。
団地で生活する多くの方々や、棲みついている猫たちの現実とはいっさい関係ありません。
また、団地で普通に暮らす多くの外国出身の方々とも、いっさい関係ありません。