甘党の限界(続・おしゃべりさんのひとり言133)
甘党の限界
僕は間違いなく甘党です。
でもアラブのスイーツだけは、もう勘弁願います。
年末にお隣に引越して来られたご夫婦の旦那さんは、アメリカ人のマイクさん。
日本語が話せないので、ご近所さんとの交流はあまりありません。
僕は庭に出ると、たまにマイクさんと顔を合わせる機会があるので、挨拶程度の軽い会話ならします。
「もうこの家の生活に慣れましたか?」とか、「ここの気候は寒くないですか?」とか。
すると前に住んでいた九州の佐世保と違って、食事に関して戸惑っているってことを話されました。
佐世保は都会だからいろんなお店がいっぱいあったけど、この辺りは田舎なのであんまりってことのようです。特に美味しいケーキやドーナツを食べられないんだって。
ケーキ屋なら数軒あるけど、マイクさんが言ってるケーキはショートケーキじゃなく、アメリカ人が日常的に食べてるカップケーキとかパウンドケーキみたいなのを売る店がないってこと。
僕は代わりに大判焼きの店ならあることを教えたけど、彼は餡子が嫌いなんだそうだ。
そうだった。アメリカ人は餡子が苦手。
(アメリカ人は甘いものが好き)って信じてる人も多いと思いますが、意外に餡子嫌いなアメリカ人も多いですよね。
その理由を聞くと「甘すぎる。こんなに甘いもの食べられない」くらいのことを言われて驚きました。
アメリカには日本食の店や、スーパーなんかでも日本の食材は普通に揃うんですけど、和菓子ってあまりないんです。
僕がよく出張でアメリカに行っていたのは、もう十数年前ですけど、その当時は「日本人向けの日本食専門のスーパーでないと売っていませんでした。
そこで串団子を見付けたので、仕事仲間に買って行ったら、みたらし団子は大丈夫だけど、餡子を載せた1本が食べられない人もいました。
日本人の僕からしたら、アメリカにはそれよりもっと甘いお菓子がいっぱいあると思うし、その量を一度に食べるなんておかしいと思う事さえあるけど、そんな彼らからしたら、餡子の甘さは異常らいしい。文化の違いって言うのか、その甘さは喉を通らない人もいるようで、顕著に好き嫌いが分かれる。彼らにとって豆料理はしょっぱいものだという認識が根付いていて、日本人が甘いご飯に抵抗があるようなものなのかもしれません。
そう言えば最近、日本でアンパンは人気なのに、なかなか『あんまん』売ってないですね。
肉まん(豚まん)やカレーまん、ピザまんはあるのに、若い人には、あんまんは敬遠されがちになって来たんでしょうか?
僕も外国で食べる甘味に関しては、好き嫌いが出ます。
アメリカで食べる甘さって言うのは、キャンディとかシロップとか、とにかく砂糖系が濃い。でもそのくらいなら慣れた味だから食べられないほどではない。
チョコレートやキャラメルも好きだけど、それら味の何か(ドリンクとか)になると話は別で、とにかく量が多い。
ドーナツには、カラフルな砂糖や生クリームがふんだんに使われていて、たくさん食べると胸焼けします。
高校生の時に短期留学していた先のホストファミリーの朝食が、毎朝ドーナツでした。これでホームシックになったくらいです、
中国には馴染みの甘味がたくさんありますね。どれも美味しいと思います。
ゴマ団子は中華の定番デザートです。これは中身が餡子ですし、僕は美味しく食べられる。
月餅なんかも大好きです。この前、横浜中華街で月餅を大量買いしてきました。
中の餡子の種類の豊富さに、選びきれずに全種類買ってしまうほどです。ただの小豆じゃなく、クルミ餡や栗餡、ナツメ餡や、ハスの実の入った餡子など、それぞれ特徴の違う味です。
昔、僕のばあちゃんが作ってくれた月餅もどきのお饅頭には、練った干し柿が餡子に混ぜてあって、その味が忘れられません。でもそういうの、どこ探しても売ってないんですよ。
本場中国で食べた甘味で、白髪餅というのもありました。水飴を伸ばして粉付けて、折りたたんでさらに伸ばして、それを繰り返して、ふわふわの白髪のように細い糸状にしたもので餡子を包むというものです。見た目がすごく美しいのですが、時間が経つと湿ってベト~となる、作り立てが命の、全く砂糖の味しかしないようなお菓子でした。
台湾では芋圓(ユーユェン)という里芋の団子入りのみつ豆のようなものがあって、甘い豆腐入りの豆花(トゥファ)ってのもあります。僕はどっちも大好物でよく食べに行ってました。
そして台湾土産の定番、パイナップルケーキはカロリーメイトのパイナップル味みたいなもんだけど、作り立てを売ってる専門店のはマジ美味しい。でも空港とかの土産物になるとレベルが格段に落ちるのだ。
老婆餅というパサパサのパイ皮に餡子を包んだ台中市の名物は、これも専門店で出来立てを食べたけど・・・、不味くはないんだけど、皮が周りに落ちて散らばるから、お土産に買うのはやめました。
でも台湾の甘いお菓子は日本のものにどこか通じるものがあるので、大体どれも好きです。
中華系の甘味では、食べられないような甘さに出会ったことはありません。同じアジア圏だからでしょうか?
韓流スイーツなんて、日本人もストライクゾーンでしょ。アジアの安心感はゆるぎない。
いいえそんなことはありません。アジアでも、東南アジアは少し事情が違う気がします。
インドネシアで食べた、カチャン・エス・チャンプルー(ミックス豆のかき氷)は、激甘でした。それは、アイスクリームのないフルーツパフェみたいなものですが、中に甘~く煮た色取りどりの豆が数種類、カットフルーツとミックスされてシロップに浸かり、最後にかき氷を載せたようなものです。具の味より、とにかく甘いだけの印象です。
またクレポンという、シロップやきな粉のような粉がかかった、トロ~ンとしたお餅みたいなお菓子は、とにかく甘ったるいけどなぜか癖になる。僕は山間部のヴィラのバルコニーで、よく猿に奪われていました。お猿もその味が好きなんでしょうね。
東南アジアではコーヒーにも砂糖を何杯も入れて飲むし、練乳を入れたりもするので、ちょっと僕の常識からしたら、甘すぎて美味しくなくなるのですが、無理して飲めないことは無いです。
作品名:甘党の限界(続・おしゃべりさんのひとり言133) 作家名:亨利(ヘンリー)