(前編) 黄金山基地の未確認生物たち:あんたには俺がいるだろ
だがジッチャンは落ち着いたもので淡々と説明してくれたんだよ。
「太古の時代からこの山で生き延びてきた黄金虎は体長1.5mほど、若干小型だな、夜行性で昼間は黄金山の洞窟で過ごし、夜になって鹿や猪を狩る、特徴は黄金色の縦縞を持っており、満月の夜にはまさに金色にだぜ、それはそれは美しいストライブを輝かせる、さらにだ、目は緑にキラキラと光り、まさに神懸かった生き物だね」
この解説をじっと聞いていた浩二が何を思ったのか、「師匠、私を山を守る後継者にして下さい、ただその前に黄金まほろば虎さまにお目通りのチャンスを!」と深々と頭を下げよってね。
だけど意外だったんだよなあ、お前のような生活力のない兄ちゃんには無理だと断われると思ったんだけどね、「浩二君、君のことはずっと以前から追跡していた、その未確認生物愛は半端じゃない、拙者の弟子となり、黄金山に住む数々の未確認生物たちを守ってやってくれ、そうだ、隣の家が空き家だったな、そこに本日より住みなされ」と。
浩二はやっとこさ自分の居場所が見つかったのか、もう涙涙、そして涙だったよ。
さらにだよ、「せっかくだから、ちょっと山を見に行ってきなされ、そうだ、案内を獣医師のマーマー姉さんに頼もう、バッチャン、呼んでくれないか」と仰るんだ。
するとバッチャンはリストフレンド・ナンジャラホイをチャカチャカと。それから10分ほどして現れたんだよ、マーマー姉さんが。
「あんたが浩二ね、外見はマーマーだけど、自然愛はピカイチと聞いたよ、私と同種かもね」と仰るものだから、「いやいや、お美しいですよ」と俺が久しぶりにサラリーマンの特技のヨイショしたんだよ。
するとマーマー姉さんは「アンタは浩二の親友の直樹ね、女性を口説く鉄則は、マメでヨイショでプレゼントよ、だからプレゼントする財力がなければ、ヨイショは止めときなさい」だって。
な・る・ほ・ど、――、ごもっともで~す!!
すると浩二が「未確認生物を口説くのも、マメでヨイショでプレゼント、かな?」とボソボソと。
これにマーマー姉さんは「浩二君、正解!」と答えられ、「さっ、皆の衆、いいかい、いざ出陣! お嬢について参れ!」と拳(こぶし)を天に向けて突き上げられたんだよな。
作品名:(前編) 黄金山基地の未確認生物たち:あんたには俺がいるだろ 作家名:鮎風 遊