ショートショート まとめ
閉鎖花
「どうも最近のやつらの考えていることはわからん」
「そうだねえ、上の世代の人に聞いたが、俺たちもそう言われた時期があったようだよ」
「うん、聞いたことある。でも、その昔と違い方が甚だしいよなあ」
「やつら皆、顔小さいし、なんか若いのに大人だよねえ」
30代同士でもう年寄りの会話のようなことをするのも珍しくなくなった。
そんなことを話している間に、その傾向はどんどん進み社会現象となる事態になる。それは世界的にみて、どの国も同じ傾向をたどっている。十代ですっかり大人になった新世代人は大学進学はごく一部の者だけで、高校を卒業すると皆就職を希望した。かといって知識教養が劣っている訳ではなかったので、採用する企業が増えた。
新世代人たちは二十代で結婚と子育てを終えるのが当たり前になった。世界的に人口が増加するやと思われたが、時同じくして高齢者の死が相次いだ。学者は首をひねった。結果はバランスの良い年代構成比になったので、深刻に研究する学者はいなかった。
作品名:ショートショート まとめ 作家名:伊達梁川