ショートショート まとめ
整理
妻がまた通販でモノを買ったようだ。狭い部屋がまた狭くなる。
そもそも妻は分類整理が出来ない。モノを捨てられない。私が【これはいらないだろう】と思って捨てると、あとあとグチグチ言われる。釣り人が逃がした魚が大きいと感じるように、私に捨てられたモノは輝き放って頭に残るらしい。もともとこの家は、妻が自分の両親から受け継いだ家だったし、妻の名義である。さらに自分がパートで稼いだ金だという気持ちもあるのだろう。
今度は何だ? ん?
『これでバッチリ! あなたの部屋が見違えるようにきれいに整頓!』だって?
その収納家具は、前に買った『小物の整理はこれ!』というモノを収納して以来使用されることがなく、さらに部屋を狭くしただけであった。要するに部屋の中に箱が幾つかあり、その箱の中に小さい箱、その中にまた小さい箱、さらに……という循環になってしまっている。
たまりかねて私が注意すると、妻が珍しく 「わかった。整理する」 と言った。私はあまり期待もしていなかったのだが、何と妻は私の予想外の整理の仕方をした。
【離婚届】を前にして私は、自分をどう整理しようか迷っている。
(了)
作品名:ショートショート まとめ 作家名:伊達梁川