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ショートショート まとめ

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ある近未来



神様などを超越した宇宙の意志ともいえるものが、地球の現状を憂い、人間だけが持っている能力の一部を他の動物に分け与えることにした。ただし、人間の脳を与えると大混乱に陥るので人間的な思考は出来ないようにした。とりあえずテストケースとして島国である日本が選ばれた。


【ダイエットする牛】

ある日 ushi は今までに感じたことのない感情に襲われて、きょとんとまわりを見渡した。そこにはいつもと何等変わらない風景があった。ushi は空を見上げるが、目新しいものは見えない。ンモーッと鳴いてみる。仲間がこちらを見る。ん? 何だこの不格好に太った奴らは? えっ、もしかしたら…… ushi は頸を曲げ自分の膨らんだ腹を見て、ンンモーーッと鳴いた。仲間もンンモーーッと鳴いた。 ushi は思わず牧場の中を走りたい欲求に襲われ走り出した。時を同じくして他の牛も走り出した。

異変を感じて様子を見に来た牧場主は牛たちが競馬のように走るのを見て、口をぽかあんと開けて見ているだけだった。

牛たちは牧草の他に食べている給餌も残すようになった。それは日本全国に及んだために、霜降り肉を好む日本の銘柄牛の産地は大パニックになってしまった。輸入が増えたが、納得できない消費者は当然のように牛から豚へシフトが始まって、新しく◯◯豚という霜降り肉の多い銘柄豚がうまれた。

どうしても牛を始末する気になれなかった牧場主は、やけくそで競馬ならぬ競牛をやってみた。ただし騎手はいない。しかしその迫力で、次第に人気になっていった。

そして税収減に悩む各地の自治体は、賞を出して競牛経営に乗り出すまでになった。


次タイトルに続く