ショートショート まとめ
私は紙を怒りにまかせて千切り、箱を床に投げつけた。箱は微塵にくだけ破片が四方へ飛び散った。
その文面はしっかりと頭に焼きつけられ常に思い出された。怒りは何日も収まらず、それは物凄いエネルギーとなって私を動かした。大企業の中途採用に面接官を圧倒させる意欲を見せ、採用になった。
とんとんと出世し、美人の伴侶も出来、人出に渡っていた先祖伝来の屋敷も買い戻した。そして一息ついて、私は建具師に丈夫な木の箱を作らせて、ご先祖様が書いていた文句を書き入れ中に入れた。そして箱の蓋に
「代々伝えしもの、決して人目にふれさせぬこと。存亡の危機のみ開けることを許す」
と書いた。
了
作品名:ショートショート まとめ 作家名:伊達梁川