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輪廻の輪


むかしむかし、ある所に桃太郎が住んでいました。
桃太郎はおじいさんとおばあさんがいて、貧乏でした。

ある日、桃太郎はキジや猿をお供に鬼退治に出かけました。
そして鬼が貯めこんでいた金銀財宝を略奪してきました。
桃太郎は罪悪感を感じ、あまりお金を使いたくありませんでしたが、おじいさんとおばあさんは大喜びで、お金を使い放題。
どんどんぜいたくをして生活しましたので、そのうちにもとの貧乏に逆戻りでした。

おじいさんとおばあさんは、
「あのとき自分達が拾わなければ、お前は海まで流れていって魚に食べられた筈だ」
と、毎日グチを言って暮していました。
二人ともぶくぶくに太ってしまっているが、桃太郎はやせ細っていました。

人の良い桃太郎は、ため息をつきながら、
「しょうがない、また鬼退治にでも行くか」
と前に一緒に行ったキジや猿達に話をもちかけましたが、前の鬼退治の時に分け前をホンの少しずつしかあげなかったため、誰もウンとはいいませんでした。

結局桃太郎は一人で鬼の所へ向かいました。

鬼の方もこんど来たらやっつけてやると待ちかまえていましたから、体力の無くなった桃太郎はすぐつかまってしまいました。
桃太郎ピンチです。しかし桃太郎は慌てずこう言いました。

「実は今日は謝りに来たのです。いくらおじいさんおばあさんのためとはいえ、鬼さんをやっつけて財宝を奪うなんて、はずかしいことをしました」

それを聞いて青鬼は少しためらっていましたが、やっぱり桃太郎を釜ゆでにして食べようかと言いました。

赤鬼は
「青さん、ちょっと待って下さい。聞けば、桃太郎はおじいさんおばあさんのためを思って略奪をやってしまったが、自分の欲望のためではないらしい。今日は反省してここにやってきたという。ここはひとつチャンスを与えようではありませんか」
と言いました。

青鬼は
「まあ、赤さんがそういうならそれでもいいですけどね、どうせやせ細ったヤツなんか不味いだろうから」
と言いましたので、桃太郎は釜ゆでにならなくてすみました。