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ショートショート まとめ

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神様の正体



お風呂に入っている時、眠る前ともうどのくらい願い事をしただろうか。相変わらず彼女はいないし、出世コースからも外れている。

Kは今夜も、情けない自分を思い出して大きいため息をついた。そのため息のあまりの大きさに吊り下がっている蛍光灯の傘から埃が舞い落ちた。それと同時に何か白いもやっとしたものが次第に人の形を成した。

何? どうしたの? 頭の整理もつかないうちにそいつは、どこか懐かしい声で
「どうした、そんなにでかいため息をついて」
と話しかけてきた。
「はあ」とKがまぬけた声を出したあと「彼女も出来ないし、給料も安いままで」と答える。
「例えばどんなやつに願ったんだ」とそいつはなれなれしく言った。
「神様ですけど」Kは、なんだこいつは偉そうにと思いながら答えた。
「まあ、解りやすく天使と悪魔にしよう。どっちだ」
「そりゃあ、決まってるじゃないですか悪魔に願い事なんかしません」とKは投げやりに答える
「おまえが言った天使というのは、こんなやつ」
そいつは形を変えて、よぼよぼのじいさんになった。そして「悪魔はこうだ」と、若くてセクシー、さらに可愛い女性になった。
Kがその魅力的な姿をちょっと触ろうとしたとたん、また形が変わった。
「わかったかな、皆勘違いをしている。そしていいか、どちらも気まぐれだってことさ」
「じゃあ、願い事なんてしてもしなくても同じだと」と言いながら、Kはまた大きなため息をついた。

今更のように、Kは気づいて
「で、あなたは」
とそいつと数秒見つめ合うことになった。(何だこの奇妙な感じは)とKが思っていると
「正視にたえんなあ、自分の顔は」と言いながらそいつは消えてしまった。