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ショートショート まとめ

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夢見装置



莫大な親の財産で、働く事も必要がない友達Sはその偏執狂的のめりこみの結果、大発明をしたと私に打ち明けた。私は興味を覚えてSの研究所に行ってみた。

Sは意識的に数種類の夢をみる装置を発明したという。「今は頭に装置を装着して寝るという煩わしさはあるが、いずれはイヤホーンぐらいにしたいと思っている」と飛び出しそうな眼を妖しく光らせて言った。

「そして種類だが、まあ当初はこんなもんでいいだろう。こちらもいずれ種類を増やすつもりだ。まず、仕事・遊び・恋愛・お金 から一つを選ぶ。今の段階は次もまた同じなんだ。つまり仕事の中の仕事、仕事の中で遊びの要素、仕事を解しての恋愛、そして仕事についてまわるお金だな」
そこで、コーヒーをすすりひといきついた。

「当然お金からお金という人もいるだろう。この2段階で選んでから今度は強弱を1〜5から選ぶ、最強5は当然のようにリスクはつきものだ。これでOKだ。まあ夢なんだから、お金を沢山手に入れてもねえ、それでもそんな夢を見たければ選べばいいということだ」

Sはここまでしゃべり、少し愛想笑いをしながら私をみた。私は、Sがまるで私が喜んでこの実験台になることを承知していると思っているなあと感じた。

「もう、実験は終わっているのんだろうね」と私は恐る恐る尋ねた。Sにはたびたびお金を借りたまま返していないので、嫌な予感がしたのだ。

「さすが友達だ、飲み込みがいい」Sは嬉しそうな顔をして半歩私に寄ってきた。

…何も飲み込んではいない…そう心で言って、さあこのまま帰ろうかと思ったが、Sは私の上衣の袖を握り、逃げ出さないようにして話を続けた。