色々な掌編集
わたしの想像力
わたしの書いた短い小説に
想像力がすごいと
あなたが感心してくれたけれど
わたしは自分の想像力が怖いのです
ある日あなたは
こう言うのです
「好きなひとが出来た、別れてくれ」
そう簡単にはゆきません
わたしは「もっと文学的に」と
論点のずれた言葉を吐いて
あなたを苦しめるのです
「ちょ、ちょっと待ってくれ」
あなたは持ち前のずるさで
後ろを向いてスマホで検索するのです
「二人の物語はこう運命づけられていたのだ」
時間がかかってそれかとあきれながら
わたしは「運命なんて信じない」と言うのです
わたしが「もっと分かりやすく」と言うと
あなたは、手短にこう言うのです
「ブス!」
大変分かりやすかったのでわたしは
なぜか手に持っていたナイフで
あなたを刺してしまうのです
ブスッ!
わたしの想像力は
変でしょうか?