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色々な掌編集

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謹啓 平素より当組に対し格別なる御支援を賜り、猪熊組一同厚く御礼申し上げます。
 さて、地元商店会様と合同の忘年会を左記のごとく執り行い度く存じます。
 皆様方におかれましては誠に恐縮ではございますが、万障御繰合わせの上、御出席下さいます様、御願い申し上げます。  謹白
     記
期日 2009年12月25日
場所 北町ビル猪熊組事務所
会費 金壱萬円也
   会費は前日に集金にお伺い致します。
     猪熊組 組長  猪熊 大蔵
         同若頭 二蛭 平三

猪熊はターゲットは隣町の商店会にした。日にちも商店街の忙しい日を選んだ。そして会場は、夜になるとあやしい人々が出入りすると噂のあるビルにした。会費を五万円にするか五千円にするか迷った。五万円ではいくらやくざ相手でも出ししぶるだろう。五千円では威厳が無い。結局、警察介入を恐れて一万円にした。なけなしの金を払って、足がつかないように二駅離れた所まで行って印刷を頼み、深夜ターゲットにしたそれぞれの郵便受けに入れて来た。

猪熊は予定通りに二蛭に集金に向わせた。二蛭には何も言わないで、ただ集金に来ましたとだけ言ってあとは黙っていればいいと言ってあった。

二蛭の顔のせいか、またクリスマスイブの日とあって、50数軒のうち40もの集金があった。残りはそんな物を見ていないと頑張って、あとは責任者がいないからと断られた。二蛭もだんだんと面白くなって、最後の方はチラリと二本指の無い手を見せたりもした。

結局、40万円のうち、30万円を猪熊がとり、二蛭が10万円ということで手を打った。猪熊はしばらくその商店街の様子を伺ったが、すぐに正月が来て皆忘れてしまったようで安心した。
作品名:色々な掌編集 作家名:伊達梁川