色々な掌編集
10年経ちました。王子様は迎えに来ません。姫は鏡をみることが苦痛になってきました。しかし、あいかわらず姫は「あの人がいつ迎えに来てもいいように」と自分の美貌を保つ努力だけに専念しておりました。
20年経ちました。王子様は迎えに来ません。姫は、それでも意地になって若く綺麗に見える努力をしました。父である王様ももうすっかりおじいさんになって、さすがに姫も婿を選ばなくてはならない歳になってしまいました。
一方、王子はどうにか内紛を静め領地を安定させました。ひと息ついて、お世話になった城のお姫様を思い出しましたが、どうすることもできません。内紛をおさめるために別の国のお姫様と結婚することになっているからです。そして、だんだんとお姫様の顔もはっきり思い出せなくなりました。
王子から王様になって娘も年頃になってきた頃に、娘の姿によって、はるか昔に必ず戻ってくると約束した、岩の上にある城のお姫様を思い出しました。
(ああ、もう取り返しのつかない年月を過ごしてしまった)と反省し、とりあえずこっそりと調べさせました。するとまだ王子様を待っているということが分かって、王は第二婦人にでもと思ったのですが、報告書には【化粧とダイエットしか出来ないようす】と書かれています。
王様はそのまま無視しようと思ったが、もう思い出してしまったので、心にひっかかり、迎えのものをさし向けました。
元お姫様は、王女の付き人として暮らしております。めでたし、めでたし??