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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
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続・おしゃべりさんのひとり言/やっぱりひとり言が止めらない

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その153 人参嫌い



最近は人参嫌いな人いる?
昔は嫌いな野菜の代表格だった気がするんですけど、最近はどうなんでしょう?

空港にある航空会社のラウンジには、軽食が用意されているものですが、サンフランシスコ空港には、いつもセロリと人参スティックがあります。
生野菜を1センチくらいの太さで長さ10センチほどにカットしただけですので、非常にしょぼい印象ですが、日本から飛行機に12時間乗って、体が固まった状態で、胃もたれのような症状になることがよくありますし、この野菜スティックを食べると、胃が復活する気がするんで、国内線乗り換え前などには、ラウンジに寄って必ず食べるようにしていました。
それには“ランチドレッシング”をディップして食べるのですが、そのドレッシングは日本人には馴染み薄いですよね。
ランチってのは『昼食』のランチ(lunch)じゃなく、『牧場』っていう意味のランチ(ranch)です。
つまり、田舎風ドレッシングって感じのニュアンスだと思います。
僕はこのドレッシングが大好きですけど、日本じゃあまりお目にかかれません。
見た目は白くて、サウザンドアイランドとシーザードレッシングの中間みたいなイメージですかね。とにかく美味しい。
セロリにはこのドレッシング一択くらいにマッチします。
でも人参にはどうかって言うと、合わない訳じゃないですよ。でも少し違和感があったんです。
それは人参特有の匂いを打ち消すほど、美味しいドレッシングなんですよ。でもでも・・・
何が気になってたかって言うと、ドレッシングじゃなく、人参の匂いの方だったんです。
海外で食べる人参って、明らかに匂いの強いものがあります。
料理に入っていると色は日本のと同じなので、あまり気にならないですが、生のままだと味まで違う気がするんです。
ステーキ皿に付け合わせで、表面を焦がした親指ほどの大きさのグリルドキャロットが乗っかってたりしますけど、そのサイズにカットして作るもんだと思ってたら、アメリカではそのサイズそのままの人参が、結構スーパーで売られてるんです。僕はホテルで自炊するから買ってみたら、それはすっごく人参臭かった。
日本でも表面を削ったような、そのサイズのパック入りを知ってるけど、臭いような印象無いのにな。

日本で食べる人参の匂いなんか、それほど気になりません。
オレンジ色で、種類によっては真っ赤だし、むしろ美しい野菜ですよね。料理の彩には打って付けじゃないですか。
生でも煮ても焼いても揚げてもOK。どんな料理にも引き立て役として使われています。
なのに人参嫌いな人の理由って、おそらくその匂いが原因でしょ。
こういう匂いは青臭さとも違うし、エグさとも違う。でも確かにその匂いは独特。理由は人参自体が他の根菜とは違って、セリ科の野菜なんで、セリ独特の香りをまとっているからです。
だから世の中には、人参嫌いの人って、セロリやピーマン、トマト嫌いくらい多いと思ってしまいませんか? でもこれって、単なるイメージじゃないですかね?
実際に人参嫌いの人に会ったことって、最近は無いような気がしました。
具体的に(あの人は人参嫌いだ)って人、すぐに思い浮かびませんもの。

妻は管理栄養士をしていますが、病院や学校の給食では、アレルギー食材に関する配慮は徹底されているのはもちろんですが、食べる側の“好き嫌い”に応じて、食材を考えることもあるらしいと言っていました。
野菜では、そのものを食べる目的で使用されるか、料理の中のメイン食材となり得る、セロリやピーマン、トマトが問題に上がるものの、人参をメインに使う料理はほぼ無いので、気にせず使用されているようです。
最近は、人参嫌いでどうしようもない人は、少ないってことでしょうか?
人参の野菜ジュースは、小学校給食に出されるくらい飲みやすく、市民権を獲得していますし。

じゃ僕は人参をどうかって言うと、好きでも嫌いでもない。あまりよく考えたことなかったですね。
ピーマンだったら、苦みとか青臭さとか、その嫌な面は思い付くし、トマト嫌いの人は、ゼリー状の部分が気持ち悪いとか、セロリも臭いセリ科なので言わずもがな。結構嫌いな理由も理解できますよね。
でも人参って、それほど食感も悪くないし、色だってきれいだし、言うほど臭い訳でもなく、味はむしろ甘い。他と比べても、最悪な要素ってそれほど強くないと思うんですが。どうかな?
きっと最近の日本の人参は、品種改良されてて、食べやすくなっているからなんでしょうね。昔の人参は、もっと臭かったんだと思います。
今から50年以上前に子供だった世代は、(きっと人参の匂いに悩まされながら、無理やり食べさせられてきたんだ)と想像出来ます。
そしてその子供世代も、親が苦手だって思えば、食べるの躊躇しますから、人参嫌いが継承されてた時代が少しあって、それが最近ようやく、フラットに受け入れられるようになって来たんだろうって想像しました。

アメリカで食べた人参には結構臭いのがある訳で、日本の人参とは明らかに品種が違うようです。
人参をデザート感覚で食べる『人参グラッセ』なんて甘いものがありますが、アメリカで食べたら臭くて微妙な料理でしたよ。
そんな話を妻としていると、実は妻のお義母さんが、人参嫌いだったそうです。
(なんだ、身近にこういう人がいたんだ)って思いましたけど、なんと妻はそれを、つい最近知ったと言うんです。
妻も特に人参が苦手だったとかではなく、兄妹弟も皆平気だそうです。
なのに、お義母さんだけ、誰にも知られることなく、密かに人参を避けていたんですって。
50年以上秘密にして。すごいでしょ。
子供たちには、「栄養があるから、食べなさい!」
でも自分はそれを一切口にせず、ずっと内緒にしていたんですって。
秘密保持能力、高過ぎです。