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さよなら、カノン

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イチョウが黄色く色づく浅葉小学校の校庭
体育館を兼ねた講堂に数体、制服を着せられた低身長のマネキンが置かれている
正樹・実穂子の吉川夫妻が制服業者から説明を受ける
業者から制服の入った紙袋を受け取る実穂子
講堂の入口で最後の来場客となった吉川夫妻を浅葉小学校の女性校長が待ち受ける
軽く会釈する夫妻に校長が声をかける

校長  「お辛いですね。でも来年の入学式には必ず・・・」

講堂を振り返る実穂子
数人の業者皆が実穂子のほうを向いて直立し目を伏せている


縁側に腰掛けて柔らかいボールを庭に投げる正樹
そのボールを咥えて正樹に届けるシロ
成犬の手前まで大きくなっているシロ

正樹  「いいのか?」
実穂子 「うん。色々考えたけど。パパはどうなの」
正樹  「俺は家にいないから・・・。だけどカノンが帰ってきたら寂しがるぞ」

キッチンから縁側に移動する実穂子

実穂子 「この子も大きくなっちゃし。カノンわかんないかもしれない」
正樹  「んなことあるか。まだまだ可愛いシロ坊だよな」

ボールを投げる真似をする正樹
ワンと吠えるシロ

正樹  「じゃ、山形の変わり者の伯父さんとこに引き取ってもらう。でいいんだな」
実穂子 「変わり者だけは余計だけど」

正樹の投げたボールを縁側に運ぶシロ
ボールを渡すようシロに催促する実穂子
シロの口元からボールを受け取りそのままシロの首元に抱きつく実穂子

実穂子 「ごめんね、シロ。いろいろ無理なの。いいママじゃなくてごめんね」

つぶらな瞳で実穂子を見あげるシロ
曇天の空から白い粉雪が舞い落ちる

作品名:さよなら、カノン 作家名:JAY-TA