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蝕む

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俺の生活領域を侵すことのない蟲たちは、しかし、増えては少しずつ何処かへ消えて行く。さすがの蟲もエアコンのつかないこんな暑い部屋ではくたばってしまうのだろうか。
不思議と死骸が見当たる訳でもないのだが。




そんな折、珍しく学校の友人から電話がきた。帰省してはみたものの、ひどく退屈な休みを過ごしているらしい。そんなものだ。学生なんてみんな怠惰な生活を憂いながら自分を戒めてゆくのだろう。その後も夏休みの課題はどこまで進んだか、とか、自分は内臓が夏バテのようだなど、だらだらと話し続け夜を更かした。












学校が始まった途端、エコもくそもない、エアコンががんがんに効いた校舎とむせかえる暑さの田舎道を行ったりきたりだ。外気の温度差が激しいので、夏風邪にでもかかったようだ。夏バテの身体に、周期の短い偏頭痛には結構辛いものがある。


長い休みの間の自堕落な習慣もぬけずじまいで、結局、部屋に帰ると窓を開け放し、無気力に寝ころがる日々を繰り返す。





暑さのピークも過ぎ、気温も右肩下がりになりはじめた。今では蟲は蠢くほどもいなくなって、部屋の目立たない処を散らばっているくらいだ。






夏も終わりなのだろう。






作品名:蝕む 作家名:零 識