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第一印象と二重人格の末路

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「俺が小説家として、何とかやっていけているのは、あの時諦めず、編集長の胸に飛び込んだからだったのかも知れないな」
 お互いに第一印象を大切にし、特に思春期が遅かった吾郎は、そもそも、女性に対してだけしか見てこなかったので、自分が分からずに、表に出ることができなかったのだ。
 つまり、男性を意識していなかった。男性を意識するというのは、悪いことだと感じていたからだ。
 そもそも、女性を意識するというのも、罪悪感があるのに、男性ともなると、
「実に不潔だ」
 と思い込んでいたのだ。
 それを、道化師の感覚と、第一印象という自分の特徴を理解できたこと。そして、感覚のマヒが襲ってきた時、元々あると思っていた二重人格性を、夢という中で、その本質を見たことで、一気に感覚がマヒしたのだ。
 そんな夢から覚めた吾郎は、編集長との逢瀬を重ねることで、自分の小説家としての才能が開花していったのだ。
「自分が書きたい小説」
 そして、
「売れる小説」
 ということで、合致したのが、BLつまり、ボーイズラブだったのだ。
 彼のように、第一印象で書けるということでの、スピード感は、天性のものがあったのだ。
 編集長も見抜いていたようで、BL小説の世界としては、かなりの人気作家になってきたが、それ以上は、望んでいなかった。
 そう、
「出る杭は打たれる」
 ということにはなりたくなかったからだ……。

                 (  完  )
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