ご褒美
「わ~~ 有り難うございます。あなたもお礼を言いなさいよ。」
「うん・・村長さん、ありがとう。でも、俺んちには、電気が通っていないんだけど・・」
「えっ、そうだったのか・・ では、まず電気を通して頂ける様にお願いしてみよう。」
「折角だけど、その心配は要らないよ。ラジオも要らない。」
「お前、正気か? 将軍様からの贈り物だぞ。断れる訳などない。」
「褒美を断る気はないよ。ラジオよりも欲しいものがあるんだけど・・」
「まあ一応言うだけ言ってみろ。但し、それが認められるかどうか分からないぞ。」
「俺は何も要らないよ、もう褒めて貰ったから。それでだな、二人の子供に長靴が欲しいんだ。どの色の靴が欲しいかは、子供達に聞いてくれ。それから、女房には、大きな鏡。この前、村長さんの家から借りて来た鏡の前で楽しそうにしてたからな。出来れば村長さんの鏡よりも大きなのが良いな。」
「それだけで良いのか?」
「うん。」
「・・・よし、分かった。長靴と鏡だな。・・じゃあ、これで失礼するよ。」
「・・やっと帰ってくれたな。これでキャベツでキャベツをロールしたキャベツを落ち着いて食べれるぞ・・・」
「あなたって本当に欲がないのね。」
「いや、欲はある。だが不可能なお願いをしても仕方ない。」
「本当は、何が欲しかったの?」
「笑うと笑顔に見える顔。」
「・・・」