【前編】哀レは己レの為メ成レど
「哀レは己レの為メ成レど」
前編
まなみ:26歳、O L。漫画を描くことを趣味にしている。
カナコ:19歳の大学1年生、法学部に通う女の子。明るくて元気。キラキラしている。
ユウキ:20歳の大学2年生。医学部。知的な面とユーモラスな面を備えている。素直。
ともき:まなみが片想いしていた1つ上の男性
店員 :スタバの店員。
<まなみの自宅>
アパートの鍵が空き、おぼつかない足取りでアパートの一室へ入る。
室内をトボトボ歩いている。
椅子をひき座り、突っ伏す
まなみ「なんで…。」
ペンの走る音、徐々に荒々しくなる
まなみ「(嗚咽が漏れる)」
その音とともにBGMイン
タイトルコール
まなみ「哀レは己レの為メ成レど」
自転車で風を切って走る音
S E:キラキラキラキラ
B G M:私の中の小さな宇宙
かなこ「私の名前は山本かな子!大学1年生で法学部に通っています!実家から遠く離れ、今は7つ上のお姉さんとシェアハウス中!そのお姉さんの名前は木下まなみさん。私の相談をいつも聞いてくれるし、家事も気づいたら終わってる、私にとって二人目のお母さん!って感じです!
私の毎日は平和で、とっても幸せな日々を送っています。 今ごろまなみさんは、お家で美味しいご飯を・・・」
カナコ「あれ?」
自転車を止める
原っぱを走る音
カナコ「おーい!まなみさーん!」
そよ風の音が大きくなり、BGMがフェードアウト
まなみ「・・・誰?」
徐々にB G Mイン、そよ風の環境音は絞るが引き続きそのまま流す。
カナコ「え!?」
カナコ「前言撤回、ちょっと平和じゃなくなりそうです。」
カナコ「覚えてないですか?カナコですよ! カ・ナ・コ!」
まなみ「ごめんなさい、本当にわからないの…」
カナコ「うーーーん。とりあえず、おうちに帰りましょ」
まなみ「ごめんなさい・・・」
カナコ「そんなそんな、私の方が毎日助けられてますから」
まなみ「毎日…私、いつからいるの?」
カナコ「うーん、忘れちゃいました!」
まなみ「…そう」
B G M、環境音ともにフェードアウト。環境音だけ少し遅れてフェードアウト。
鍵を開け、扉を開く音
カナコ「先どうぞ」
まなみ「ごめんなさい」
カナコ「そんな謝らないでくださいよ!何も悪いことしてないんですから!」
まなみ「ごめんなさい…」
フローリングを歩く音
カナコ「あったかいお茶にしましょうか、今冷たいものはなんとなく悪そうですし」
まなみ「うん…ありがとね」
カナコ「いえ!」
遠くからポットでお茶を入れる音「コポコポコポ」
まなみ「・・・・(家の中を見渡している)」
カナコ「何か思い出せそうですか?」
まなみ「…なにも」
カナコ「……名前覚えてます、か?」
まなみ「あなたの?」
カナコ「いえ、自分の」
まなみ「…ええ。そういうのは覚えてるんだけど。」
カナコ「お仕事は?」
まなみ「え、事務員」
カナコ「出身は?」
まなみ「安城(あんじょう)」
カナコ「趣味は?」
まなみ「…漫画を描くこと、かな。」
カナコ「じゃあ、ここは?」
まなみ「そういうのは全然覚えてなくて…。どうして私いま、ここにいるのかが…。」
カナコ「最近の記憶が無いって感じなんですかね」
まなみ「うん…」
カナコ「よし、じゃあ私が元気になれるものを!…あれ、もう4時半じゃん!」
まなみ「何か用事?」
カナコ「えーっとぉ、そのぉ…。うーんと…」
まなみ「ユウキくんとスタバ行くんだっけ?」
カナコ「え、は、はい!…言ってましたっけ?」
まなみ「……言われては無い気がする」
カナコ「なんだか凄い能力の気配があるんですけど…すいません!今はユウキくんを優先させて頂きます!」
扉の音「バタン」ヒューンみたいな効果音もあるといい。
まなみ「早っ。 漫画みたい。」
まなみ「見覚えはある気がするのに」
歪んだS E
まなみ「何これ。 気持ち悪い…」
倒れ込むS E、そのまま寝てしまう。
<喫茶店>
喫茶店の扉が開く音
カナコ「先輩!…まだ来てないか。」
店員「いらっしゃいませ」
カナコ「あ、えっと…キャラメルマキアートのトールでお願いします。」
店員「かしこまりました」
商品を受け取り、椅子に座るカナコ
カナコ「ふぅ」
S E:キラキラキラキラ
カナコ「(先輩と会うのは高校卒業以来だから…もう1年半も経つのかぁ。あっという間だったけど、今日までの1週間はすごく長かったなぁ。)」
扉が開く音「カランコロン」
カナコ「!」
ユウキ「うーん、じゃあこの写真のやつで。え、サイズ? ふつーのでお願いします」
カナコ「キター!落ち着け、落ち着けわたし…。ひっひっふー、ひっひっふー。」
椅子をひく音
ユウキ「ごめん、待たせちゃったね」
カナコ「全然!わざわざあいが…ありがとうございます!(噛んだーーーー!!!)」
ユウキ「こっちこそ、誘ってくれてありがとね。 卒業以来だから、1年半ぶり?」
カナコ「ですね、お久しぶりです。」
ユウキ「今はどんなこと勉強してるの?」
カナコ「法学部で弁護士になるための勉強してます。覚えることがたくさんで…
な、何してるんですか?」
ユウキ「俺ストロー苦手なんだよ」
カナコ「フラペチーノはストローで飲むもんですよ?」
ユウキ「そうなの?(フタの開く音)」
カナコ「直飲み!?」
ユウキ「(ゴクゴク)あー。(プハーみたいなやつ)
いやでも弁護士目指してるなんて凄いじゃん」
カナコ「先輩、鼻の頭にクリームついてますよ」
ユウキ「え?あほんとだ。 はっず笑」
カナコ「だからストローでって言ったじゃないですか」
ユウキ「人の言うことはちゃんと聞くもんだな」
二人笑う
S E:キラキラキラキラ
カナコ「(ちゃんと話せるか心配だったけど…今すっごい幸せ…。
連絡して本当によかった!!!)」
<カナコ宅内>
まなみ「うわ…。 もう8時じゃん。 えっと…何すればいいんだっけ」
カナコ「ただいま!」
まなみ「あ、おかえりなさい」
カナコ「何か思い出せた?」
まなみ「ううん、何も。」
カナコ「それよりね!もうすっっっっっっっっごい楽しかった!!!!!」
まなみ 「え?」
カナコ 「先輩、今大学で凄い難しいこと勉強してるんだって!説明してくれたけどちっともわかんなかった笑」
まなみ「そう」
カナコ 「でね、先輩はフラペチーノ頼んだんだけど、上の蓋外して飲んでて、飲み方違いますよって言ったのにそのまま飲んじゃって、クリームが鼻の頭についちゃってすっごい笑っちゃった!」
まなみ 「そう」
カナコ 「そのあとも高校の時の部活の話で盛り上がって」
まなみ 「うん」
カナコ 「私先輩のチューバ見てかっこいいなって思ったからチューバ希望したのに、先輩はじゃんけんに負けたからチューバにさせられちゃってただけで」
まなみ 「…」
カナコ 「それで...大丈夫?顔色悪くない?」
まなみ 「うん」
前編
まなみ:26歳、O L。漫画を描くことを趣味にしている。
カナコ:19歳の大学1年生、法学部に通う女の子。明るくて元気。キラキラしている。
ユウキ:20歳の大学2年生。医学部。知的な面とユーモラスな面を備えている。素直。
ともき:まなみが片想いしていた1つ上の男性
店員 :スタバの店員。
<まなみの自宅>
アパートの鍵が空き、おぼつかない足取りでアパートの一室へ入る。
室内をトボトボ歩いている。
椅子をひき座り、突っ伏す
まなみ「なんで…。」
ペンの走る音、徐々に荒々しくなる
まなみ「(嗚咽が漏れる)」
その音とともにBGMイン
タイトルコール
まなみ「哀レは己レの為メ成レど」
自転車で風を切って走る音
S E:キラキラキラキラ
B G M:私の中の小さな宇宙
かなこ「私の名前は山本かな子!大学1年生で法学部に通っています!実家から遠く離れ、今は7つ上のお姉さんとシェアハウス中!そのお姉さんの名前は木下まなみさん。私の相談をいつも聞いてくれるし、家事も気づいたら終わってる、私にとって二人目のお母さん!って感じです!
私の毎日は平和で、とっても幸せな日々を送っています。 今ごろまなみさんは、お家で美味しいご飯を・・・」
カナコ「あれ?」
自転車を止める
原っぱを走る音
カナコ「おーい!まなみさーん!」
そよ風の音が大きくなり、BGMがフェードアウト
まなみ「・・・誰?」
徐々にB G Mイン、そよ風の環境音は絞るが引き続きそのまま流す。
カナコ「え!?」
カナコ「前言撤回、ちょっと平和じゃなくなりそうです。」
カナコ「覚えてないですか?カナコですよ! カ・ナ・コ!」
まなみ「ごめんなさい、本当にわからないの…」
カナコ「うーーーん。とりあえず、おうちに帰りましょ」
まなみ「ごめんなさい・・・」
カナコ「そんなそんな、私の方が毎日助けられてますから」
まなみ「毎日…私、いつからいるの?」
カナコ「うーん、忘れちゃいました!」
まなみ「…そう」
B G M、環境音ともにフェードアウト。環境音だけ少し遅れてフェードアウト。
鍵を開け、扉を開く音
カナコ「先どうぞ」
まなみ「ごめんなさい」
カナコ「そんな謝らないでくださいよ!何も悪いことしてないんですから!」
まなみ「ごめんなさい…」
フローリングを歩く音
カナコ「あったかいお茶にしましょうか、今冷たいものはなんとなく悪そうですし」
まなみ「うん…ありがとね」
カナコ「いえ!」
遠くからポットでお茶を入れる音「コポコポコポ」
まなみ「・・・・(家の中を見渡している)」
カナコ「何か思い出せそうですか?」
まなみ「…なにも」
カナコ「……名前覚えてます、か?」
まなみ「あなたの?」
カナコ「いえ、自分の」
まなみ「…ええ。そういうのは覚えてるんだけど。」
カナコ「お仕事は?」
まなみ「え、事務員」
カナコ「出身は?」
まなみ「安城(あんじょう)」
カナコ「趣味は?」
まなみ「…漫画を描くこと、かな。」
カナコ「じゃあ、ここは?」
まなみ「そういうのは全然覚えてなくて…。どうして私いま、ここにいるのかが…。」
カナコ「最近の記憶が無いって感じなんですかね」
まなみ「うん…」
カナコ「よし、じゃあ私が元気になれるものを!…あれ、もう4時半じゃん!」
まなみ「何か用事?」
カナコ「えーっとぉ、そのぉ…。うーんと…」
まなみ「ユウキくんとスタバ行くんだっけ?」
カナコ「え、は、はい!…言ってましたっけ?」
まなみ「……言われては無い気がする」
カナコ「なんだか凄い能力の気配があるんですけど…すいません!今はユウキくんを優先させて頂きます!」
扉の音「バタン」ヒューンみたいな効果音もあるといい。
まなみ「早っ。 漫画みたい。」
まなみ「見覚えはある気がするのに」
歪んだS E
まなみ「何これ。 気持ち悪い…」
倒れ込むS E、そのまま寝てしまう。
<喫茶店>
喫茶店の扉が開く音
カナコ「先輩!…まだ来てないか。」
店員「いらっしゃいませ」
カナコ「あ、えっと…キャラメルマキアートのトールでお願いします。」
店員「かしこまりました」
商品を受け取り、椅子に座るカナコ
カナコ「ふぅ」
S E:キラキラキラキラ
カナコ「(先輩と会うのは高校卒業以来だから…もう1年半も経つのかぁ。あっという間だったけど、今日までの1週間はすごく長かったなぁ。)」
扉が開く音「カランコロン」
カナコ「!」
ユウキ「うーん、じゃあこの写真のやつで。え、サイズ? ふつーのでお願いします」
カナコ「キター!落ち着け、落ち着けわたし…。ひっひっふー、ひっひっふー。」
椅子をひく音
ユウキ「ごめん、待たせちゃったね」
カナコ「全然!わざわざあいが…ありがとうございます!(噛んだーーーー!!!)」
ユウキ「こっちこそ、誘ってくれてありがとね。 卒業以来だから、1年半ぶり?」
カナコ「ですね、お久しぶりです。」
ユウキ「今はどんなこと勉強してるの?」
カナコ「法学部で弁護士になるための勉強してます。覚えることがたくさんで…
な、何してるんですか?」
ユウキ「俺ストロー苦手なんだよ」
カナコ「フラペチーノはストローで飲むもんですよ?」
ユウキ「そうなの?(フタの開く音)」
カナコ「直飲み!?」
ユウキ「(ゴクゴク)あー。(プハーみたいなやつ)
いやでも弁護士目指してるなんて凄いじゃん」
カナコ「先輩、鼻の頭にクリームついてますよ」
ユウキ「え?あほんとだ。 はっず笑」
カナコ「だからストローでって言ったじゃないですか」
ユウキ「人の言うことはちゃんと聞くもんだな」
二人笑う
S E:キラキラキラキラ
カナコ「(ちゃんと話せるか心配だったけど…今すっごい幸せ…。
連絡して本当によかった!!!)」
<カナコ宅内>
まなみ「うわ…。 もう8時じゃん。 えっと…何すればいいんだっけ」
カナコ「ただいま!」
まなみ「あ、おかえりなさい」
カナコ「何か思い出せた?」
まなみ「ううん、何も。」
カナコ「それよりね!もうすっっっっっっっっごい楽しかった!!!!!」
まなみ 「え?」
カナコ 「先輩、今大学で凄い難しいこと勉強してるんだって!説明してくれたけどちっともわかんなかった笑」
まなみ「そう」
カナコ 「でね、先輩はフラペチーノ頼んだんだけど、上の蓋外して飲んでて、飲み方違いますよって言ったのにそのまま飲んじゃって、クリームが鼻の頭についちゃってすっごい笑っちゃった!」
まなみ 「そう」
カナコ 「そのあとも高校の時の部活の話で盛り上がって」
まなみ 「うん」
カナコ 「私先輩のチューバ見てかっこいいなって思ったからチューバ希望したのに、先輩はじゃんけんに負けたからチューバにさせられちゃってただけで」
まなみ 「…」
カナコ 「それで...大丈夫?顔色悪くない?」
まなみ 「うん」
作品名:【前編】哀レは己レの為メ成レど 作家名:平塚 毅