学習塾は?
「そうか? 俺は、今のお前の方が好きだけどなぁ。知り合った頃のままだったら、今頃お前は、糖尿病になっていたかも知れない。一度鏡にお前の姿を映してみろ。スラリとして十歳は若く見えるぞ。」
「え~~、そ~う? でも、うちには、全身を映し出す大きな鏡はないわ。」
「よし、待ってろ。村長の家までひとっ走りして、大きな鏡を借りて来るから。」
「うん、優しいね・・」
「当然だ。惚れた女房の為だもの。ついでに、大工道具も借りてくる。」
「大工道具は、借りなくてもいいよ。」
「要らないのか? 道具無しでも船を造れる方法を考え付いたのか? お前は、頭が良いなぁ。」
「そうじゃなくて、船なんか造らなくてもいいよ。船を造って、あなたと下の子が居なくなったら、村長さんの家の大きな鏡をまた借りる時、誰がうちまで担いでくるのよ。」
「それもそうだな・・じゃあ、鏡だけ借りてくる。」
「うん、暖かい白湯を入れて待ってるからね・・」