満月鏡
何度もメールに問いかけを打ち込んではみるものの、送信のキーの前に消去してしまう。
馬鹿げたことを書いて この繋がりが絶たれてしまうことのほうが 僕にはつらい。
彼女にも 僕が見えているなら 教えてくれるだろうか?
心の内ばかり探りあって もしも答えが出たとしたなら『満月鏡』は割れてしまうかもしれない。
彼女の本当の名も知らないのに 切りつけるやるせない想い
木々の間をわたる風に乗って 彼女という花弁が僕の手の中に舞い降りた
ぎゅっと掴んでは萎れてしまうが 緩めれば また飛ばされていってしまいそうで 僕の気持ちは閉じたまま。
また来る満月の夜に鏡を見上げるのだろう
そして、キミに見惚れる
― 了 ―