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オオサカタロウ
オオサカタロウ
novelistID. 20912
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 わたしは思わず口に出した。コートで隠れかけているけど、首元が微かに光っているのは金色のステッチが入っているから。このワンピースは、ここの四階にあったのと同じものだ。
 今から五年前、『島トリオ』のひとりが、ここで消えたのだ。
 仲良し三人組。出られないことで有名な廃墟。ランちゃんが書いた掴み。わたしは、アキナが送ってきた『続編』を思い出した。成人して心霊系ライターになったひとりは、この廃墟に入ったきり行方不明になり、宴会場にはカメラだけが残されていた。
 だとしたら、わたしは生きて帰れない。何故なら、前編のオチだから。
 画面に表示されている『アキナ』のアイコン。わたしは三年もの間、一体誰とやり取りをしてきたんだろう。答えを求めてメッセージを打とうとする手が動かず、わたしは代わりに呟いた。
「冬美」
 影がふっと後ろから伸びて、わたしの体をすっぽりと覆った。振り返ろうとしたときには、信じられないぐらいに懐かしい声が、もう耳元にいた。
「おかえり」
作品名:Suffix 作家名:オオサカタロウ